サザンカ2 (ページ35)

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夢の終わりページ35

草介side

悩みに悩んだ挙句、俺は子ども食堂を開くことにした。

食事を満足に食べられていない子

両親が共働きで一人でご飯を食べている子

家を改築したり、地域の理解を得るのに苦労したけど

「草介兄ちゃんの料理、美味しい！」

子どもたちが、いつもこう言ってくれるお陰で、自分は間違っていなかったんだなと思えた。

「兄ちゃん！俺皿洗い手伝うよ！」

『ありがとう、じゃあこの皿洗って。』

「兄ちゃーん、勉強教えて！」

『はいよ、どれどれ...』

「兄ちゃん、あいつら、また喧嘩してる。」

『こらっ！二人ともまたか！』

ガチャーン、パリーン、ドッタンバッタン

驚いた声、笑い声、泣き声...

いろんな音が、家に響く。

ふぅ、と一息吐いた。

まだまだ、課題はあるなぁ

そう感じることは多々あっても、あまり苦に感じないのは。

きっと

花斗の小さい頃を思い出すからだろう。

ーー兄ちゃん！今日、先生に僕の絵褒められたんだよ。

嬉しそうにそう言ってた花斗を思い出した。

ああ、早く仕上げを終わらせないと

今日は、久しぶりに花斗が帰ってくるんだから

ーーピンポーン

インターホンの音が鳴る。

子ども達と小走りで、玄関のドアを開けた。

「おかえり！花斗。」

「ただいま、兄ちゃん！」

あの時、何もしなければ、この笑顔を見ることもなかった。

こうして、花斗を出迎えることもなかった。

今、俺達はやっと自分の夢を叶えることが出来ている。

それだけで、たまらなく。

幸せなんだ