サザンカ2 (ページ34)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:1,570 hit

灯火ページ34

草介side

...考えもしなかった。

花斗に、こんな風に思われていたなんて。

そうだ。

花斗だって、あんなに立派になったんだ。

俺も、変わらなきゃいけない。

ただ、傷つくのが怖いだけじゃないか

誰かのために。

そんなこと、考えもしなかった。

怖いけど...やらなきゃ

『俺にも...才能がある？ハ...ハハ...こんなに情けないのに...』

気づけば、自分の目から涙が出てきて、床を濡らしていた。

だけど、それは悲しみの涙じゃない。

ただ嬉しかった

それだけで、胸が一杯になる。

これから、ちゃんと決めていかなくちゃいけない。

もう、前に進まなきゃならない。

俺は涙を拭いた。

花斗にこんな顔見られたら、笑われてたかも

さっきの暗い気持ちは、いつの間にか吹き飛んでいた。

花斗の部屋の窓から、柔らかい風が吹き抜け、カーテンが舞い上がった。