サザンカ2 (ページ32)

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日照りに雨ページ32

草介side

フラフラ、家の中に入る。

もう俺は、一人だ。

いや、一人じゃない。

花斗は遠いところに行っただけだ。

...でも、誰もいない家がこんなにも孤独だなんて

明日からどうしようか

誰のために、料理をつくる？

何のために、生きる？

俺にも、夢があればいいんだけど

でも、一度だけ留学したことがあったなあ

そういえば、俺はどうして料理人になろうと思ってたんだっけ？

ーーーまた、喘息か！もうやめろ、やめろ！そんなんじゃ、料理人になれないぞ！

ーーー生半可な気持ちでここに来るのはやめてくれないか。俺はお前みたいなやつと、同期なのが嫌なんだよ！

ーーーん～...？申し訳ないけど、取り替えて下さる？貴方の料理、好みじゃないわ。

留学時代の記憶が蘇る。

もう、うるさいから黙ってくれ

考えるのが、辛い...苦しい

『花斗...』

俺は、無意識に弟の部屋へ向かっていた。

もう誰もいないのに...

何も残されていないのに...

そう思ってたんだ。

『......何これ。』

さっぱりした机の上に、手紙が置いてあった。

花斗...どうして、これを？

震える手で、封を開けてゆっくり読んだ。