二人の馬鹿 ページ28
草介side
花斗がそんな風に思ってただなんて、知らなかった。
辛い思いをずっと、俺がさせてきたんだ。
本当、俺って馬鹿だなぁ
『...俺の方こそ、ごめん。花斗は何にも謝らなくていいんだ。黙ってた俺が悪いし、それにお前は、もう俺のそばで、辛い思いをしなくていいんだよ。』
花斗は、画家になる。
俺のそばから、離れていく。
すごく寂しいけど、花斗の夢を壊してはいけない。
そんなこと、俺が耐えられない。
「...兄ちゃん、俺さ。画家の夢、諦めようと思う...」
『...は?』
何言ってんの、花斗。
お前、何を、言ってる?
『...馬鹿か!花斗、何言ってんのか、分かってんの!?やっとの思いで、掴んだ夢だろ!それを捨てるなんて...!』
「俺だって真剣に考えた!けど...兄ちゃんのこと、一人にしたくない!今度は俺が兄ちゃんを支えたい、今までたくさん迷惑かけたから...!」
なんてことだろう。
どうやら
馬鹿なのは、俺だけじゃなかったようだ。
『ハハ...花斗、俺達兄弟そろって馬鹿だよなぁ』
「馬鹿じゃないよ。本気で思ってるんだ。俺は、兄ちゃんを一人にさせたくない。兄ちゃんが望んでくれるなら、ここにいる。」
そんなもの、ただのエゴでしかない。
俺の独りよがりの勝手な望みを、花斗に押し付けても何にもならない。
花斗の夢を、壊してはならない。
『...じゃあさ、花斗は俺が望むなら、何でも叶えてくれるってこと?』
ごめん、本当は今でも、一人でどう生きればいいのか怖くてたまらない...
誰のために生きたらいいのか、わからなくなる。
でも、俺はいつだって花斗の兄ちゃんだから。
花斗の夢を、応援したいから。
...ごめん
「うん。今までの、恩返しがしたい。何でも言って、兄ちゃん。」
優しいなあ、花斗。
病気持ちの兄貴に恩返しがしたいって。
そんなこと言えるやつ、なかなか居ないよ
...だけど、ごめんな。
俺が、これから言うことを、どうか許して。
『じゃあ、近いうちに、この家から出て行って。』
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作者名:ロク | 作成日時:2018年11月17日 17時