怖かった ページ26
草介side
花斗は全てを話してくれた。
それなのに、俺は...
「結局、兄ちゃんはいつになっても、話してくれなかったけどな。」
皮肉を言う花斗の顔を直視できない。
「しかも、再発したこと黙ってるし。俺、そんなに頼りない?」
『それは違う...』
顔を上げた。
花斗の顔をちゃんと見た。
泣きそうな、怒っているような、顔。
...俺も、ちゃんと伝えなきゃ駄目だ
『ずっと、俺が臆病だったんだ、だから言えなかった...花斗が頼りないとか、そんなんじゃなくて...』
どうして、黙っていたんだろう
家族なのに、兄弟なのに
これも、それも全部
『花斗に知られるのが怖かった、知られたらどう思われるんだろうって...だから言えなくて...っごめん、本当にごめん。』
俺が臆病だから
知られることを恐れていたから
こんなことになってしまった
いつのまにか、両目からたくさんの涙が溢れ出ている。
花斗にどんな言葉を向けられるのか...
覚悟を決めて、涙だらけの眉を閉じた。
だけど、訪れたのは痛く突き刺さるような言葉ではなかった。
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作者名:ロク | 作成日時:2018年11月17日 17時