知ってる ページ22
花斗side
俺は、兄ちゃんのポケットから、手探りで、吸入器を取り出した。
『あれ...な、なんで...コホッ...ヒュッー...!』
なんで、俺が吸入器の場所を知っているのか
きっと、兄ちゃんの頭の中はハテナだらけだろう。
今は、そんなことより
「いいから、早く吸って。」
兄ちゃんの呼吸と合わせて、プシュッ、と薬液を噴射する。
『はぁ......はぁ...ケホッ...』
席はまだ出てるけど、呼吸が安定してきて、ホッとした。
兄ちゃんを支えて、リビングのソファーに座らせる。
彼は、恐る恐る、俺の様子をうかがいながら、質問してきた。
『...花斗、あのさ...実は...その...』
...そんなに、俺の顔怖いかな
「もったいぶらなくていいよ。」
『ごめん、ずっと何年も前から、さっきの...喘息のこと、隠してた。』
「知ってる。そんなこと、ずっと前から知ってるよ...兄ちゃんが、俺に隠そうとしていたことも。』
兄ちゃんは、ひどく驚いた顔をしていた。
『...だから、吸入器の場所も知ってたんだな。いつから、知ってたんだ?』
兄ちゃんの声が、震えている。
でも、それを無視して、平然と答えた。
「俺が10歳くらいの時かな。お父さんに聞いて、知ったんだ。」
俺は、兄ちゃんに、その経緯を話した。
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作者名:ロク | 作成日時:2018年11月17日 17時