いつだって ページ13
草介side
花斗が去った後、台無しになった料理を片付ける。
床に落ちた野菜、豚カツ
お皿は、奇跡的に割れていなかった。
花斗にとって、俺が今までしてきたことは、ありがた迷惑だったのかもしれない
野菜を拾いながら、そう思った。
それでも、やっぱりこんなことしか出来なかった
何でもいいから、あいつを元気付けてやりたかった
俺は......
花斗が夢に向かっている姿を見ると、酷く安心する
自分は夢を諦めてしまったけど
せめて、花斗だけでも夢を叶えてくれたら...
『...っ...ヒュッ...ヒューッ...ゲホッ...！ゴホッ...！』
あぁ、まただ。
頼むから、出てくるなよ
どうして、こんなに病弱なんだろう
どうして、俺だけ...
こんなにも現実は、容赦なく突きつけてくる。
頭の中に、ありえない幻聴が聞こえた。
ーーー本当は、ずっと思っているんだろう？
...違う。
ーーー夢を叶えられる弟が、憎いんだろう？
違う。
ーーー本当は、弟が憎くて、羨ましくて、妬ましいと思っているくせに！
うるさい...！うるさい...！
ポケットの中から吸入器を探す。
噴射された薬液を吸い込む。
しばらくすると、安定して落ち着いた呼吸になった
花斗......
ごめん。
俺は、自分を殴ってやりたかった。
あんなことを考えるなんて、兄ちゃん失格だ。
落ちたものを全部片付けて、小さなおにぎりを作った。
....自分に作るものなんて、これくらいでいい。
だって、いつだって
花斗と一緒に食べるご飯が、美味しいから。
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作者名：ロク | 作成日時：2018年11月17日 17時
