サザンカ2 (ページ12)

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やっとページ12

花斗side

今からすることは、最低なことかもしれない

描いては消して、描いては消して...

下書き用の紙が、何枚も宙に舞う。

俺は、自分の今の気持ちを、絵に描くことにした。

兄ちゃんはこんな俺を見て、幻滅するだろうか

謝りもしないで、勝手に絵を描いて

だけど、これが本当に描きたいものなんだ

やっと

「自分らしい」絵を、描けるかもしれないから

描き続けて、描き続けて

描き続けて...

気付けば、夜の7時を超えていた。

下書きは出来た。

あとは、色を塗るだけ！

皿の影、お椀の模様、箸の色...

全てを再現するために、絵の具一式を持って、リビングに降りる。

兄ちゃんは、居なかった。

いつもは、兄ちゃんと二人でご飯を食べるテーブル

キャンパスと道具一式で広げてしまって、申し訳ない気持ちで溢れる。

皿を実際にテーブルに置いてみて、影の部分を塗る

ご飯とお味噌汁のお椀は、集中力が試された。

特にご飯のお椀の模様を再現するのが難しかった。

食材の色、明るさ暗さ、暖かい雰囲気

とにかく、全てをキャンパスに表したかった。

23:00

「あ、あぁ...できた...！」

絵が完成した。

あとは、これを大学に持っていけば...！！

リビングの机の上を片付けもせずに、俺は家を飛び出した。