正義で君を救えるか［加藤春］ (ページ43)

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特定犯人 3 ページ43

翌日

昨日のこともあって、加藤さんと話し難くなってしまった。原因は私なんだけれど…

『はぁ、』

まほろ)どうしたの？ため息なんて似合わないよ

『まほろちゃん〜、…もうダメかもしれない。』

まほろ)そんな落ち込むことないって。元気だして頑張ろう？

まほろちゃん…こういう時は先輩で頼りになります…いつも頼りになってるけど。

ﾌﾟﾙﾙ!

まほろ)あ、Aさん、電話鳴ってますよ！

この時、事件が大きく動き出すことを私も誰も知らなかった。

『はい。現対本部』

電話の先は神戸さんからだった

神戸)Aに良い知らせと悪い知らせがある。どちらを先に聞くのか？

『じゃあ、良い知らせからで』

亀井)加藤さん、Aさん何話してるんですかね？

加藤)さぁな。

加藤と亀井達はチラッとAを見つめていた

神戸)以前、AのPCに送られたメールの差出人を調べた結果、ある男を特定した。今日その男を事情聴取と言って署まで呼んでおいた。

『やっと見つけたんですか？』

神戸)いや。兄の個人情報がヒュスクでも特定が出来なかった。その男が犯人かどうかは分からない

『そうですか。…それで、悪い知らせとは？』

神戸さんの声が静かになった。嫌な緊張が迫って、頭が真っ白になりそうだ

神戸)昨日の夜、山口家の妹がマンションで火事を起こして意識不明の重症になったそうだ。

『……っは！？』

驚きのあまりに思いっきし立ち上がってしまった
意識不明、重症、…火事って。どういうこと

神戸)警察は事件と見てる。目撃者によると、男性を見たと情報があるからだ。話は以上だ。

予想もしないことが起きてしまった
信じられなくて、切られた電話を持つ手が震えた

湯本)お、おい。どうしたんだ？

湯本さんの言葉に我を返って、電話を受話器に戻した

『いえ。』

取り敢えず落ち着こう。そうじゃないと、犯人の手口を見失いそうになる

琴さんの言った通り。この事件は尋常じゃない

『部長。例の件に行ってきます』

清水)…あぁ。

足が重くなる
どうなってるのか分からない。これはどう考えたって、事件になるでしょう？

加藤)っ。部長、例の件っていったいなんの話ですかっ

清水)…

加藤)っAが何を考えてるのか、俺にはさっぱりわかりませんっ

部長は、黙り込んだ口を開いた

清水)詳しい事は僕の口からは言えない。ごめんね、かとちゃん

加藤は拳を握り、自分に腹立つ怒りを抑えるために部署を出た