正義で君を救えるか［加藤春］ (ページ20)

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過去の話 1 ページ20

部署に戻り、私と神戸さんは階段の方に来た

『話って、なんですか。』

神戸)…Aは、加藤の事が好きなのか？

……ん！？

『え！？な、なんですか急に。』

神戸)…今日の仕事。本当は行きたくなかったんじゃないのか？

『…理由になってませんよ』

神戸)けど、色々あったんだろう。例えば、1課を去った理由も、…警察官になった理由も

『ｯっ！！』

グイッといつの間にか感情の勢いで、神戸さんのスーツの裾を握っていた
気づかれたくなかった。から

神戸)すまない。これ以上言うのは良くないな

『っ、ちょっとまって！…どこまで知ってるの？私の事』

神戸さんが先に気づくんじゃないかとは思っていた。加藤さんの事も既に知っていた時点で、きっと調べたに違いないから

私の事だって、簡単に調べることが出来るんだ

神戸)さっき言った例の2つだ。

『全部じゃないですか。…』

それじゃあ、言い返す言葉もない
神戸さんに、嘘ひとつ付けない

神戸)何故、加藤には言わないんだ？

『……、……怖いからです。』

神戸)…

『だって加藤さん。他の誰よりも、正義の為に警察を続けてるじゃないですか。それに変わって私は…』

神戸)……復讐、と言いたいのか？

『ちがっ……っ、』

いやだ。涙が止まらない
泣きたくない。泣いちゃいけない。…

神戸)事件に巻き込まれて、両親を亡くしたんだろう、幼い頃に。犯人は現逃亡中だ。

やだ、神戸さんまで。
神戸さんまで私が、復讐のためにって思ってしまうのは

神戸)だが、復讐ではないだろう

『…え、』

神戸)同じ被害者が出て欲しくなくて、現もその犯人を追い続けているために警察になったのではないのか。

『…っ、』

神戸)そう思わせてくれたのは、加藤なんだろう

……そう。加藤さん
自分が自分でいられたのは、加藤さんのお陰。

1課にいた時からずっと。

私の憧れで、好きな人で、特別な人

小さい頃、両親を事件で亡くしてずっと1人だったあの時の辛さと苦しみ
高校生からは誰も支えてくれる人がいなくなって、生活をするのも大変だった

両親を殺害した犯人が私の人生を狂わせた

だから家族との約束も、楽しかったことも、誕生日も。
何一つ、思い出がない。特別な日なんてない

それなのに、加藤さんは。
私を1人にさせなかった。

(次から夢主さんと加藤春くんの過去編になります)