オドントグロッサム (ページ9)

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俺からの急な質問に、ジェシーくんは即答で"好きだから"と答えてくれた。

でも、分からない。それがどういう意味の好きなのか。

これから先、俺のことも今朝みたいにするつもりで接してるのかな。

人間観察と、人を疑うことだけは得意な俺はずっとジェシーくんのことを見ていたけど、何も分からなかった。

そして、気付くと俺は"俺のことどうするつもり？"なんて聞いていた。

ジェシーくんは、樹くんも含めて"どうもしない"と答えてくれた。

"樹くんは俺のことをよく話す"とも。

…ほら、やっぱり二人は二人じゃん。

今朝のもきっと、樹くんを怒らせる何かがあったんだ。

今までの優しい樹くんと、ジェシーくんの優しい笑顔だけが頭に浮かんでさっきの事が全て嘘なんだという気すらしてきた。

それから、ジェシーくんにはお礼を言って教室に戻る。

朝はあんなに騒いでいたのに、俺が戻る頃にはもう完全にいつもの教室だった。

何も変わらず一日が過ぎて、帰る時間。

今日は、教室を出ても樹くんとはすれ違わなかった。

でも、帰り道に前と同じ場所でジェシーくんを見つける。

今日は、その隣に樹くんも居た。

どっちの名前を呼ぶべきなのか迷っていると、樹くんが先に俺の方を振り向いた。

不意に朝のことを思い出して、少し身構えたけど樹くんは前と変わらない笑顔で話しかけてくれた。

樹「北斗くんじゃん、お疲れ」

いつもと同じように返せば良いのに、どうしても恐怖心のほうが勝ってしまう。

そんな俺を見たジェシーくんがすかさずフォローに来てくれた。

ジ「今日は俺と樹遊びに行くけど、北斗くん来る？」

"無理だったら大丈夫だよ"と口パクで言ってくれるジェシーくん。

何で今の気持ちがバレていたのかは分からないけど、ジェシーくんに迷惑はかけたくなくて、行くことにした。

さり気なく樹くんとは隣にならないようにしてくれるジェシーくん。

ジ「…ねぇ、大丈夫なの？」

樹くんには聞こえないぐらいの小さな声でそう聞くジェシーくん。

俺は小さく頷いた。

ジ「…北斗くんも狂っちゃうよ」

最後に独り言のように呟いたジェシーくんの言葉の意味は分からなかった。