06. ジェシーSide ページ6
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俺と樹は小さい頃からずっと一緒だった。
小学校低学年ぐらいまでは、半強制的に仲良くさせられていたけど気が付くと自分から樹のことを必要だと思うようになっていた。
ただの健気な幼馴染同士だった俺らが狂ったのは、恐らく中学入学のタイミング。
樹が実の兄のように慕っていた親戚のお兄さんが女を作って縁を切った。
樹にとって兄はたくさんいる。
でも、全員自分と比べられてしまう存在。
唯一相談も出来て頼れて、暗い感情を持たずに接することの出来る兄だと樹は昔から言っていた。
その人ともう二度と会えない。
多分、もうその頃から既に樹は狂っていた。
"人は裏切るもの" "女は徹底的に潰す"
それだけずっと言い続けていた。
自分は物心つく前から一緒に居たけど、いつか自分も樹に捨てられる気がして怖くて、樹のする事に全て乗っかった。
多分、それが間違いだった。
樹と離れるのが怖くて、俺は樹と同じ高校に進学した。
部活一筋だった俺は、全然気付いていなかったけど高校での樹は完全に狂っていた。
それは、俺から見ても分かった。
気に入らない奴が居たら、力で解決する
昔から見ていた、さり気なく気遣いが出来て優しくて居るだけでモテてしまう様な樹はもう居なかった。
樹 「…ジェシーは裏切らないよね？」
その言葉に頷かないと、樹はきっと俺を殴る。
そして、捨てられる。
この学校に来た理由は、樹と離れたくないからのひとつだけだった。
まだ高校一年目。こんなに早く理由を失うとこの学校で頑張る意味がなくなってしまう。
少し恐怖心も抱きながら、俺はその言葉に頷いた。
それから、気が付くと俺と樹はＪ２と呼ばれ、学校中から恐れられる存在になっていた。
クラスに居ても怖がられるし、話しかけても逃げられる。
この仕打ちを受けるのと、樹を失うことを天秤にかけると俺が大切にしたいものは明らかだった。
だから、俺はずっと不良を演じ続けた。
そんな事を続けていたある日、人のことを信じず、ずっと攻撃してきた樹が一人の転校生を"友達"だと言って連れてきた。
樹 「この子、松村くん」
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作者名：ゆり | 作成日時：2020年4月6日 12時
