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俺の言葉を待っている樹くんの目は優しかった。
何でこの人と関わらないようにしないといけないのか、全く分からなかった。
どう説明すれば良いのかも分からなかったから、結局樹くんには何も言えないまま休み時間が終わった。
樹 「相談ならいつでも聞くからね。じゃあ、頑張って！」
そうやって笑ってくれる樹くんに、自分も笑い返しながら教室に戻る。
その日は、そのまま何も起きずに終わった。
放課後、いつも通り一人で帰っていると前に見た事のある後ろ姿が見えた。
北 「…ジェシー、くん？」
樹くんは、いつも"ジェシーが待ってるから"と言ってどこかに行く。
今日も、教室の前ですれ違った時そう言っていた。
だから、今ジェシーくんが一人で居ることに少しだけ違和感を感じた。
ジ 「あ、久しぶり」
俺に気が付いたジェシーくんが優しく笑いかけてくれる。
北 「あの、樹くんは…？」
ジ 「樹？分かんないけど、部活とか？かな。連絡しようか？」
そう言って、携帯を取り出すジェシーくん。
何か用事がある訳では無いから、慌てて止める。
北 「あ、全然そんなのじゃなくて…。 樹くん、いつもジェシーくんのところ行くって言ってどこか行くから…。」
ジ 「…あー。何だろうね。今日は来てないけど。女にでも捕まったのかな」
そう言って、軽く笑うジェシーくん。
人とは話さないけど、その分人間観察は得意。
今の一瞬のジェシーくんの動揺で、いつも樹くんがジェシーくんのところに行っているという事は嘘なんだと分かった。
ジ 「俺ら幼馴染なだけでそれ以上でも以下でも無いから、詳しく何してるかとか知らないんだよね。ごめんね」
俺の考えていることがバレたのか、咄嗟にそう言うジェシーくん。
北 「いや、全然…。二人でセットだって勝手に思っちゃってたから」
そう言うと、ジェシーくんの顔が少しだけ曇った。
ジ 「二人でセット…？ってどこで聞いたの？」
北 「え…？ どこで、って言うか二人本当に仲良しなんだなって思ってたから…。」
深い意味は無かった。
でも、ジェシーくんから感じる雰囲気が怖くて言葉が弱くなる。
ジ 「仲良いよ俺ら。本当に誰にも負けない」
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作者名：ゆり | 作成日時：2020年4月6日 12時
