20. 樹Side ページ20
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ジェシーが前みたいに優等生に戻った時、正直羨ましかった。
Ｊ２として陰口を言われまくっていた時より、笑顔も増えて明るくて友達も出来て、キラキラしていた。
そんな人と幼馴染なのが誇り、というよりはそんな人の事を連れ回していた自分が憎かった。
だから、俺はもうジェシーとは縁を切らないといけないと思った。
俺と居たからジェシーは苦しんでいた。
俺と居たから冷たい目で見られて、傷付いていた。
ジェシーは俺の事を裏切らない、と思っている。
けど、ここで裏切られるか俺が裏切らないとジェシーが不幸になってしまうと思った。
だから、俺は極力ジェシーのことを避けた。
嫌われるまでとことん冷たく接した。
でも、ジェシーはそれでもずっと俺の味方だった。
ジ 「お前のこと一人にする気は無いから」
俺と離れたから幸せになれたのに、俺が関わらなくなったから優等生になれたのに、今まで苦しめ続けていた原因の俺にそう言ってくれた。
今さら裏切られてももう何も思わないのに。
今裏切ってもジェシーは悪者にならないのに。
でも、その言葉は素直に嬉しかった。
どれだけ経ってもジェシーは俺の事を裏切ろうとしなかった。
だんだん申し訳ない気持ちも出来てきて、ある日ジェシーを昔からよく行っていた公園に呼んだ。
ジェシーは約束の時間通りに来た。
ジ 「やっほー」
樹 「ジェシー、さ、何で俺のこと裏切らないの」
長く話して誰かに見られて、またジェシーのことを悪く言われたら困る。
だから単刀直入にそれだけ聞いた。
ジ 「何でって、相棒じゃん？」
樹 「俺がどれだけお前のこと苦しめてたのか気付いてないの？」
ジ 「逆に樹が俺のこと避けててどれだけ傷付いてるか知らないの？」
樹 「…は？」
俺の質問に対して、ほぼ間をあけずそう言ったジェシー。
ジ 「俺の一番信頼出来るやつはいつになっても樹だよ。それは絶対変わらない」
樹 「馬鹿なの？」
ジ 「何で？」
その時のジェシーは何となく怒っているような顔をしていた気がする。
ジ 「何で樹のこと信頼してたら馬鹿なの？」
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作者名：ゆり | 作成日時：2020年4月6日 12時
