13. ジェシーSide ページ13
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うっかり口を滑らせて北斗くんと樹の間に壁を作ってしまってから一週間。
樹は分かりやすく壊れた。
ジ 「…ねぇ、樹。やっぱり昨日のって…」
樹 「何？」
今までのターゲットは、俺ら二人に対して何か言ってきたりあからさまに睨んできたりする人だけだった。
それも十分ダメだけど、最近では目が合うだけでも手を出すようになっていた。
それを止められるのは俺しか居ない。
けど、それ以上何か言うと次は自分がやられる気がして怖くて何も言えなかった。
ジ 「あの、確認だけど…。 北斗くんに裏切られたとか思ってないよね？」
控えめに何とかそれだけ聞いた。
ずっと"人は裏切るもの"と言ってきていた樹。
今回悪いのは全部俺たち。
でも、今までのことを考えると樹も結構なダメージを受けていると思った。
樹 「…ジェシーに関係無くね？」
樹は、俺とは目も合わせずそれだけ言った。
ジ 「関係無いけど、北斗くんのことだけはダメだよ」
樹 「あいつとお前はする気ない」
何がとは言わなかったけど、樹にはちゃんと伝わっていたと思う。
その言葉で、樹がどれだけ北斗くんのことを信頼して大切にしているのかが分かった。
それと同時に、それだけ大切な存在だった北斗くんとの関係を勝手に引き裂いてしまったことに罪悪感もあった。
それから、数日後。
急に樹の顔が明るくなった。
それと同時に、樹が誰かとトラブルになることも少なくなった。
ジ 「何かあったの？」
そう聞いても、樹は曖昧に笑って誤魔化す。
でも、その明るい顔を見ていると少しだけ安心した。
樹 「今日さ、北斗くんのところ行かない？」
北斗くんと壁が出来て以降、俺と樹の間にも何となく壁があるように感じていた。
そんな関係のまま無言で歩いている時、樹が突然そう言った。
ジ 「…え？」
あの時の北斗くんの顔は明らかに怯えていた。
今突然会いに行ったら、怖がられるか距離を置かれるか、少なくともいい顔はされない。
だから、断ろうと思っていたけど樹は迷うことなくいつも北斗くんの居る場所に向かっていた。
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作者名：ゆり | 作成日時：2020年4月6日 12時
