【新テニスの王子様】合宿の場所、間違えました。

プロローグ ページ2

“異例の全日本ジュニア6連覇、今期待の東雲A選手(16)に密着！！”


ゴシック体の太文字が、今月の月刊プロテニス見開き1ページを堂々と飾っている。

その下には、金のメダルを首にかけ、トロフィーと賞状を持った少女の写真、そして彼女のインタビューの様子などが載せられていた。



「あっ、東雲Aさん特集だ〜。手塚がこういうの読むなんてちょっと意外だにゃー」


通路を挟んで隣の座席から、ひょいと身を乗り出して、そのページを覗き込んだ菊丸が言った。


そう、ここはU-17選抜候補の合宿へ向かうバスの中。

中体連の全国大会で優勝した彼ら青春学園男子テニス部は、高校生を対象としたこの合宿に招待されたのである。


「こら、英二！危ないだろう！！」


このバスは山道を通るため、身を乗り出すのは危険だと判断したのだろう、菊丸の隣に座っている大石が、彼をたしなめた。



「でも、東雲Aさんって、テレビとかで見る限りだと、凄いって言われてるわりに、何だか雰囲気は普通の女の子だよね」


彼女の名前を聞いた河村が呟く。

それを聞いていた不二が、そうだね、と頷いて言葉を続けた。


「確かに、身長は日本人にしたら低くはないけれど、華奢だし、性格もそんなにキツくなさそうだよね。正直、あまり強そうには見えないかな。手塚はどう思う？」



「ああ。彼女はああ見えてどうやら、頭脳戦や、心理戦を得意としているらしい。ぜひ会って試合をみてみたいものだ」


記事を読みながら手塚は言った。




＿＿＿＿だが、彼らは思ってもいなかった。

まさか、これからその東雲Aと出会うことになるなんて＿＿＿。

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