拾肆 ページ15
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(あんな家とっとと勘当されて出て行ってやるわ)
華ノ衣は幼少期から家を出たくて堪らなかった。
けれども、幼い故に父の財力と使用人の家事が無くては生きて行けない事を悟り、悔しながら自分が一人立ち出来るようになるまでじっと堪えていた。
しかし、満を持して時は満ちた。
今となっては身の回りの事は一人で出来るようになって、財源もある程度は確保していた。
ついこの間浅野に煙草を没収された時に、こんな物何処で手に入れたんだ、と聞かれた事があったのだが、華ノ衣はパパの書斎からくすねてきたの、と受け答えした。
その時彼女は父の書斎で煙草の箱だけではなく、金庫に入っている一定の生活資金を入手していた。
しばらくは生活に困らない程度のお金がある為、すぐに勘当されて財源を失っても困る事は無い。
後は今回のテストで騒動を起こして、E組に落とされるのを待つのみである。
自分の娘が進学校で落ちこぼれのクラスに所属しているなんて、彼にとってはどれ程屈辱的なんだろうか。
あの人の絶望的な表情を想像すると、背の辺りがゾクゾクとして気分が高ぶった。
しかし、自らがE組に行ってしまうと不味い事もある。彼女の恋心の事である。
(心残りがあるとしたら、浅野くんに好きって言って貰ってない事くらいだけど)
彼女は淡い期待を込めて愛しい横顔を見詰めるが、彼は参考書を読むのに夢中で全く気が付いてくれなかった。
『浅野くん』
「何だ。しょうもない用だったら張り倒すぞ」
『勉強するの好き？』
「は？」
『お願い答えて。勉強するの好きなの？』
華ノ衣の珍しく真剣な顔に、彼は参考書を閉じた。
「別に好きでやっては無い。ただ知識の量で人の優劣が決まるなら、僕は他人より劣るのが嫌なだけだ」
『負けず嫌いなのね』
「そう言うお前はどうなんだ？」
『私はね、誰かの為にする勉強は好きじゃないの。全部自分の物にして憎い相手を超える為に、教養を身に付けているのよ』
「そうか。常に競争心がある事は良い心得だな。今回のテストで僕をあっと驚かせるつもりなんだろう？頑張れよ」
『フフッ。ありがとう。きっとこれから驚き過ぎて呆れちゃうだろうから、楽しみにしててね』
(二兎追うものは一兎も得ずってこう言う事を言うのね)
彼女は恋を諦めた。
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ハバネロ(プロフ) - 鳥の子さん» もう最新話をチェックして下さって嬉しいです(＊´ ∨｀)第二章が公開されましたので、お時間が許す限り足を運んで貰えると幸いです。 (2019年8月29日 21時) (
レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - もう…好きです…何時も私の予想を裏切って来る様な展開を見せてくれて、本当に有り難うございます！まだまだ秘密が詰まっているのですか…？とても楽しみにしています！二章でも宜しくお願い致します！ (2019年8月29日 17時) (レス) id: 163dc6fb42 (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - 鳥の子さん» お褒めの言葉ありがとうございます(＊´ ∨｀)相手方に続きを催促して貰えるような書き方を心掛けていたのでそう言って頂けて光栄でございます！ 読者さんの応援のお陰で遂に第一章を終わらせる事が出来ました^^ 引き続き、次の章でも閲覧下さると嬉しいです。 (2019年8月29日 14時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - 本当に、内容の切り方も絶妙で凄く好きです！きちんと次の話を読みたくなる様な設計になっていて、本当に素晴らしいと思います！此れからも更新頑張って下さい！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 163dc6fb42 (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - 木村君…まさかあのモブ男子と同じ扱いをされてしまうなんて…。此方に気があるのかと思わせてからの脅迫、想像(なんてしなくても凄く伝わって来るのですが)すると物凄く怖いですね…夢主ちゃん怖い…。一体何を言えと指示したのでしょう…カルマ君への脅し…？ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 163dc6fb42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハバネロ | 作成日時：2019年7月12日 23時
