【ツイステ】彼が戻ってきた。 (ページ25)

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２５.King of Beasts Ⅲ ページ25

・レオナside

A「マジフト、負けたんですってね」

負けた。

全く叶わなかった。

あれで勝てねぇなら、どうやって勝てば良いんだ。

頭の中にグルグルと"負けた"の3文字が回る中、後ろから聞こえたいつも通りの軽い声にイラッとしてしまう。

自分でも分かる。
今日の俺の機嫌は最高潮に悪い。

今度は、今度は絶対に_

どんな手を使ってでも_勝ってやる。

「…先輩、なんか今良くないこと考えてませんでした？」

「…うるせぇ、話しかけんな」

喉の奥から引きずり出し低い声に、後ろに立つそいつも口を噤む。

…これでこいつも俺に話しかけなくなった。

もう俺は、_1人になりたいんだ。

「……ふふ」

「…あ？」

「先輩、今日の俺の無様見てましたよね？」

「…あ？」

後ろに立つそいつを見れば、至る所に包帯だの絆創膏だの貼ってあって随分と痛々しい。

そういえば…とふとこいつの寮との試合を思い出した。

ー

試合開始直後。

ポムフィオーレ寮生(主にヴィル)が絶叫する事件が起きた。

とある男の顔面に直撃する俺が投げたボール。

箒から落ちる身体。

鼻から垂れる赤い血。

そして、箒から落ちた際に着地できる筈もなく、

閲覧注意並に酷い体勢で地面に落ちた身体。

あれは酷いなとそいつの顔を見れば、そいつは何時も俺と一緒に昼寝をしていた奴だった。

あんな顔ボコボコだったっけな。

ー

微妙な空気のまままだ俺の後ろに立つそいつを見れば、包帯で瞳しか見えない顔でニッと笑った(ように見えた)。

「見てくださいよ…。

…顔面はボコボコ、腕はあらぬ方向に曲がり指は10本中３本骨折。
そして右足は疲労骨折、左足は粉砕骨折。
肋骨にヒビ。」

「弱っちいな」

「黙れ！！！落ちる時見えたぞ…！」

無駄にふしゃーっと牙を向いてくるそいつの話に耳を傾けていれば、段々と話にも飽きてくる。

「アンタ俺のすぐ側の徒歩圏内に居たくせに、助けなかｯふごっっ！！」

「あ、やべぇ」

気付いたらそいつの後頭部に手刀を入れていて、そいつは絵に描いたように綺麗に倒れた。

…めんどくせぇことになったな…。

俺はそいつの固定された包帯まみれの腕を持つと、ズルズルと引きずってこの場を後にした。