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それなら、と私は話を続けた。
「そういうことでしたら、もうお弁当の方は大丈夫です」
今日までありがとうございました、と言おうともしたが、2日間だけだったしな。

「…嫌です」
「嫌って…、ゾムさんの嗜好を否定する気はないですけど、気持ちに応えられる自信はないので」
「本当に…ちゃうんです」

ゾムさんの声が、だんだんと細く、小さくなっていった。私が声を聞き取るために少しだけ近付くと、少し伸びた前髪の向こうの、膜が貼られた瞳が見えた。


あ、泣きそう。私は思わず手を伸ばして、ゾムさんの前髪を退かした。


「…確かに、今まで長続きしてた子に料理は作っとったけど、それは俺がその子に、俺が作った料理を食べてほしいと思ったからで、」
私と目が合うと、少し恥ずかしそうにゾムさんは俯いた。


「それからも、好きな子に食べてもらえるのが幸せで、」
「…でも、私の場合は料理を頂いたときが初めてまともに顔合わせたときじゃないですか?」
「………引かないでくださいね」
「引く?」
何をだろうか。私が意図が読めずにクエスチョンマークを浮かべていると、ゾムさんはあー…と歯切れ悪く話し始めた。


「俺、もとからAさんのこと知ってました」
「え…」
「大先生に会いに行ったときに見かけて…正直な話、一目惚れで」
私は何も言えずに、ゾムさんの話を聞いていた。


「マンションの部屋隣だったのは、最近知って…。それで、夕飯のお裾分けも、下心でした…」

顔を両手で覆ってそんなことを話すゾムさんに、私は思わずふっと笑ってしまった。



.

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ヨリ(プロフ) - 心春さん» ありがとうございます💖 (2022年10月24日 0時) (レス) @page15 id: c190102040 (このIDを非表示/違反報告)
心春 - えっ好き(*˘︶˘*).。.:*♡ (2022年10月22日 15時) (レス) id: fea60e915c (このIDを非表示/違反報告)
ヨリ(プロフ) - 柚衣さん» わ~‼️ありがとうございます🥲🤍 (2022年3月13日 17時) (レス) id: c190102040 (このIDを非表示/違反報告)
柚衣 - んふふ、めっちゃこの関係好きですwなんかたどたどしい感じで、可愛いですね (2022年3月13日 15時) (レス) @page7 id: a954c39e8d (このIDを非表示/違反報告)
ヨリ(プロフ) - ロクロさん» コメントありがとうございます! (2022年3月12日 13時) (レス) id: c190102040 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨリ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年3月9日 20時

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