〈 d! 〉おとなりさんに胃袋掴まれた〈zm〉

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流しっぱなしのテレビの音に耳を傾けながら、私は今日食べた弁当箱を洗っていた。

美味しかったな、お弁当。だなんてメニューを思い返す。卵焼きに、おにぎりに、タコの形をしたウインナー。そういえば、小学生の頃友達のきらびやかな弁当箱が羨ましかったっけ。

洗い終わった弁当箱の水を切り、新品の水切りラックに立てかける。乾いたら返しに行くことにして、見たかった映画を見てしまおう。と、私は借りてきたDVDを手に取った。




＊




「_____！___」

映画の音に気を取られていたが、人の話す声が微かに聞こえた。ゾムさんが帰ってきたのかな と思い、乾いた弁当箱を袋に入れ、急ぎ足で玄関に向かった。



「マジで無理 煙草の臭いついたらいややし」
「そこをなんとか！煙草は外で吸うから！野宿だけは勘弁」
「無理」

ゾムさんと、言い争う男の人。ん？なんか見たことのあるスーツだな…と視線を顔へと向けていく。


「あれ、鬱先輩」
紛れもない 昼に私の卵焼きを盗ろうとしていたあの先輩が、ゾムさんに何かを頼み込んでいた。



「…Aちゃん？」


信じられない とでも言わんばかりの先輩にこんばんは…？と返してみた。

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