・ ページ21
「そう言えばあまねの紹介がまだだったね。あまね、入って来ていいよ」
早速それぞれ座布団に座り、話をし始めたところで耀哉が話題を持ちかけた。
Aが数年前に合った時よりもはるかに背丈が伸び、子どもらしい高めの声から大人特有の低い澄んだ声。しっかりと家を継いだ硬い意志があるようでどこか凛とした表情。
あの子供らしさのある笑顔はどこへやら、ここ数年で大人の余裕、と言うものを身に着けたように見える。
「お初にお目にかかります、産屋敷耀哉の妻になりました、産屋敷あまねと申します」
耀哉の声にこたえるように「失礼します」と部屋を仕切っていた障子が開き、喩えるなら白樺の木の精のような美しい女性が入ってきた。
「妾はAじゃ。そう畏まらなくて大丈夫じゃ、仲良くしてくれると嬉しい」
「はい」
あまねの手を取り、Aが微笑みかけると、先ほどまでの装いとは変わり、歳相応の笑顔を見せた。その一連の流れを見た耀哉は「ふふっ」と笑うと、本題を切り出した。
「それはそうと、今日来たのには何か用事があったのかい？」
「そうじゃそうじゃ、鱗滝から手紙を預かってきたのじゃ」
耀哉に促され、思い出したようにAが鱗滝に預かった手紙を渡す。それを受け取りしばらく読んでいた耀哉が考え込んだように顎に手を添えてから顔をあげた。
「鬼に変貌しても自我を保っている……これは本当なのかい？」
「ああ、妾も最初は疑ったのじゃがのう、本当じゃった」
「Aが言うのなら確かなのだろうね」
耀哉の言葉にAが真剣みを帯びた表情で頷く。
「その兄の方が炭治郎と言うのじゃが、その子が無事選別を生き残って鬼殺隊に入ったら存在を認めてはやれぬだろうか。勿論監視も兼ねて妾が同行する。」
「そこについては私は何も異論はないよ」
「よかった」とホッと胸をなでおろすAに、あまねが声を掛ける。
「柱の方々には伝えておきますか？」
「ん〜……今はまだよいじゃろ、急にそんな話の為に集められては本人達が可哀想じゃ。伝えるのは炭治郎の存在を柱たちが認識したあたりで良いじゃろ」
「分かりました」
＿＿
＿
耀哉たちとの話も終わり、家に帰る為に帰路についたAに、Aを知る老人が声を掛けた。
「おお！Aではないか！久しぶりに酒にでも行こうではないか！」
「！桑島か！久しぶりじゃの！」
数年ぶりの桑島慈悟郎だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 607人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月縹(プロフ) - 広海さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！！前程更新頻度は高くはないけど、見てくださる方がいるなら頑張れます😭😭 (2021年11月12日 21時) (
レス) id: 6e9456ced1 (このIDを非表示/違反報告)
広海 - とても面白いです。これからもがんばってください! (2021年11月12日 20時) (レス) @page47 id: 4ad4f67aa2 (このIDを非表示/違反報告)
�桟鈬�(プロフ) - 闇姫さん» 嬉しいです！コメントありがとうございます！無限列車…カ、カキタイ… (2020年10月12日 20時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
闇姫(プロフ) - 凄い面白かったです！無限列車も見たいなと思っております！ (2020年10月12日 19時) (レス) id: aeb4d97102 (このIDを非表示/違反報告)
�桟鈬�(プロフ) - 腐りかけの果物さん» こちらこそありがとうございました！！他の作品(新作とか)なども読んで頂けると嬉しいです！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
