弐ノ章 ページ15
それからまた数年後。
Aは相も変わらずしめ縄の巻かれている大岩の上で、ゆっくり空を見上げながら酒を飲んでいた。
やはりAには狭霧山の空気が体に合うようで、安息の地と言っても過言ではないぐらいだ。
「最近鱗滝の元に行けておらぬから、一人酒を飲むのもちと寂しいのう」
鱗滝曰く、また新たに弟子を迎え入れたので、それを混乱させないよう、しばらくは出来るだけ会わないように。とのことだった。
「ん〜……」
Aの心を表すと「暇」という一文字になる。
そう言えば最近、煙管というものにハマった、ぐらいしか言う事がない。
超暇、あ〜暇だわぁ〜、ねえ暇なんだけど？、はぁ〜暇。
脳内ではこのくらいの事しか考えてない。
「＿こっちだ」
「！」
しばらくちびちびと飲んでいると、鱗滝の声がしてきた。恐らく例の新しい弟子が、大岩を斬る所までに達したのだろう、もう一人、子どもの声もしてきている。
鱗滝の言いつけどおりすぐにその場から離れた。
でもA自身、その子とも仲良くなりたいな、と思うモノなので、陰ながらその様子を見てみた。
「この岩を斬れたら、“最終選別”に行くのを許可する」
それだけ伝えてその場を離れる鱗滝に、思わずAが笑った。
義勇の最近のあの口の少なさはお主に似たのではないか？もう少し詳しく言ってやれば良いものを。
そんな鱗滝に必死に呼びかけている赫灼の少年をチラリと観察する。
市松模様の羽織、赤みのかかった髪、赤い目、額の傷、そして最後に何処かで見た事のあるような耳飾りに目が留まった。
「あれは＿」
＿＿
＿
すぐに手を貸すのには少々抵抗があったので、まずは半年、様子を見る事になった。
なんとも真面目な少年だ、鱗滝に教えてもらったことを全て日記に記し、それを元に基礎を沢山繰り返している。
それでも岩は斬れず終いのようで、とうとう大岩に頭を打ち付け、自分を自分で鼓舞し始めた少年の為に、念のため鱗滝に貰った狐面を付けてから、改めてAが声を掛けた。
ちなみに狐面のデザインは顔半分を植物のツタが区切り、右斜め上部分が黒、左斜め下部分が白。そして所々にツタの模様が描かれているという面だ。
本人はこれを気に行っているらしく、よく付けている。
話題普及。
「小童、名はなんと言う？手伝ってやろうではないか」
「！？」
＿＊
さらっと二章目突入。(あんまし意味はない)
一日で18,000 hit行った事に腰をぬかしました笑
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月縹(プロフ) - 広海さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！！前程更新頻度は高くはないけど、見てくださる方がいるなら頑張れます😭😭 (2021年11月12日 21時) (
レス) id: 6e9456ced1 (このIDを非表示/違反報告)
広海 - とても面白いです。これからもがんばってください! (2021年11月12日 20時) (レス) @page47 id: 4ad4f67aa2 (このIDを非表示/違反報告)
�桟鈬�(プロフ) - 闇姫さん» 嬉しいです！コメントありがとうございます！無限列車…カ、カキタイ… (2020年10月12日 20時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
闇姫(プロフ) - 凄い面白かったです！無限列車も見たいなと思っております！ (2020年10月12日 19時) (レス) id: aeb4d97102 (このIDを非表示/違反報告)
�桟鈬�(プロフ) - 腐りかけの果物さん» こちらこそありがとうございました！！他の作品(新作とか)なども読んで頂けると嬉しいです！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
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