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選別へ出発する前日、Aは三人の元にカステラと言われる洋菓子を持ってきた。
ふわふわの生地にキラキラしたザラメ、金箔が添えられていて、なかなか金持ちでも買うのを渋るくらいの上物だ。
鬼であるAは一体どこから出したのかと言うと、ほぼ不老不死に近いため、金を貯めながら生きていればそこそこ溜まるそうだ。
そんな高価な物だが、それは三人の手に渡る事はなく、消えた。
「「「え？」」」
目の前でAが食べたとも言う。
「フハハハッ！…やはり小童の拍子抜けした顔は面白いのう」
呆気にとられて口をあんぐりと開けている三人の顔を見て、心底楽しそうに笑った。
悪意の塊のような所業だとA自身も分かっての行動である。
実際、上物の酒を目の前に、他人に横取りされたらAは迷うことなく半殺しにするだろう。
「A姉さん今の、俺達にくれるんじゃなかったの！？一人だけ食べてズルい！」
一番に異を唱えたのは義勇だ。
しかしそれにAはあまり反応せず、いつも絶やさなかった笑顔を崩し、真剣な表情になった。
「さっきの甘味が食べたいのなら、絶対に生きて帰ると約束するのじゃ。でなきゃ二度とあのような高価な物買わぬ」
やはりAの財布も相当の痛手を負っていた。それほど、錆兎、義勇、真菰に対する愛が強いと言う事だろう。
そんなAなりの心配を感じ取ったのか三人の表情が硬くなった。
「分かった！約束する！」
「私も約束するよ！」
「俺もだ、約束する」
そして一人ずつ「約束する」としっかりAの瞳を見て答える。その言葉を聞いて、安心したのかフッとAの表情が柔らかくなった。
「その言葉が聞けて何よりじゃ、言葉にしたからにはしっかり守るのじゃぞ？良いな？」
三人を一緒に抱きしめる様子は、側から見たら子どもの安全を心配する母親にしか見えない。
これほどまでに自分の弟子たちの事を気にかけているAは珍しいので、今年は何かが違うかもしれないと鱗滝の中でも希望のようなものがあった。
＿＊＿＊＿
このお話では真菰と錆兎、義勇は同期になっております。
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月縹(プロフ) - 広海さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！！前程更新頻度は高くはないけど、見てくださる方がいるなら頑張れます😭😭 (2021年11月12日 21時) (
レス) id: 6e9456ced1 (このIDを非表示/違反報告)
広海 - とても面白いです。これからもがんばってください! (2021年11月12日 20時) (レス) @page47 id: 4ad4f67aa2 (このIDを非表示/違反報告)
�桟鈬�(プロフ) - 闇姫さん» 嬉しいです！コメントありがとうございます！無限列車…カ、カキタイ… (2020年10月12日 20時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
闇姫(プロフ) - 凄い面白かったです！無限列車も見たいなと思っております！ (2020年10月12日 19時) (レス) id: aeb4d97102 (このIDを非表示/違反報告)
�桟鈬�(プロフ) - 腐りかけの果物さん» こちらこそありがとうございました！！他の作品(新作とか)なども読んで頂けると嬉しいです！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
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