ホットココアをあなたに 3 (ページ9)

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9話ページ9

「これは小学校の入学式に行くところか。お、奏ちゃんと一緒だな。」

「ええ。いつも仲良くしてくれているのよね。」

『うん。この前家に来たよ。ね？』

「うん。明るくていい子だよね。」

ちょっと怖かったけど。

ー－－－－
「これが最後か。大学の入学式の前。大学は東京だったからな。」

『そうだね。』

「あら、もう8時ね。ずいぶん時間かかっちゃったわ。今日は泊まっていく？」

えっと、、

『結弦くん、明日お仕事だから、帰らないと。』

「いや、大丈夫だよ。朝の10時半からリモートのインタビューだから、10時頃までに帰れば大丈夫。」

「じゃあ、泊まっていったらいいんじゃないか。もう遅いしな。」

Aのお父さんもお母さんもなかなかAと会えないんだし、まだ一緒にいたいんだろうな。

「A、お言葉に甘えて泊まって行こうか。」

『いいの？』

「もちろん。」

Aも嬉しそう。まだ帰りたくなかったんだな。

『じゃあ、そうする。お客さん用のお部屋掃除してくるね。』

「あら、その必要はないんじゃない？あなたの部屋で一緒に寝たら？ベッド十分大きいでしょ。」

「Aの部屋で大丈夫だよ。」

見てみたいし。

『そう？じゃあ、お風呂沸かしてこようか。』

「そうね。私は片づけをしてくるわね。」

「手伝います。」

「あら、いいのよ。お父さんの話し相手になってあげてね。」

なんかお客さん扱いって感じでいいのかな。
もう婚約したんだし。

あ、そうだ。聞きたかったことが。

「あの、Aから、お父さんは事業をなさっているという話を聞いたんですが。」

「ああ。そうだよ。一応こう見えてIT社長だ。」

かっこいい。

「あ、でも。気にしなくていい。私が起業した会社で、家族経営ではない。Aや結弦くんに継いでもらおうとは最初から思ってなかった。まだまだ現役で退くつもりはないが、そのうち優秀な社員にバトンを渡す。」

そっか。よかった。

「まあ私の最初の計画は、Aが女子大に行って、名家の人とお見合いをして、結婚して、結婚相手が継ぐという感じだったが、Aにあっさり変えられた。」

よかった。医学部にいってくれて。

「さっき話にあがった颯馬くんは、私がAとお見合いさせる予定だった相手だ。妻もAにも話してないから、内緒にしておいてくれ。」

「は、はい。」

本当に医学部にいってくれてよかった。、、