ホットココアをあなたに 3 (ページ38)

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38話ページ38

『感性が違うとやりにくいかもね。』

「うん。Aがピアニストなら専属にするのに。」

何か力になれたらいいんだけど。

あ、そうだ。

『その曲、私が弾いてみようか？』

「いいの？」

『うん。楽譜か音源があればできるよ。』

「これなんだけど。」

あれ？サン=サーンスの白鳥？

『あ、これ。弾けるよ。カット版とかじゃないよね？』

「うん。」

ー羽生sideー

やっぱりすごい。

こういう世界観を表現したいんだよな。

『サン=サーンスの白鳥ってよくバレエにも使われるんだけど、演目名は瀕死の白鳥なの。』

瀕死の白鳥？

「そうなの？」

『うん。動物の謝肉祭では美しい白鳥って扱われてるけど、わかりやすいイメージなら、瀕死の白鳥の方がいいかなと思って。儚い感じ。』

「いいかも。」

次の練習の時に話してみよう。

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ーあなたsideー

ー次の日ー

そろそろ着付け始めた方がいいかな？

『結弦くん、そろそろ着替える？』

「あ、うん。そうだね。」

『先に結弦くんの着付けやっちゃうね。』

「え、いいの？先に着替えてきたら？」

それはできないんだよね。

『私が先に着替えちゃうと着付けるときに動きにくくなるから、先に結弦くんのをやりたいと思って。髪のセットは自分でやると思うし、その間に私も着替えてくるよ。』

「わかった。」

ーーーーーー
うーん。やっぱりすごいな。

「どうしたの？」

『いや、筋肉って偉大だなと思って。』

筋肉があると締まって見えるし、かっこいい。

「まあなんか褒められてそうだからいいや。Aはあんまり筋トレしないよね。」

『しないかな。ボディメイクって必要なんだろうなとは思うんだけど、、』

「お、じゃあ一緒に筋トレする？」

え？！

『無理無理無理。何度も言うけど、運動神経悪いし、筋力もあんまりないし。』

「冗談だよ。わかってる。Aはそのままでいいと思う。」

よかった。結弦くん、絶対鬼コーチだもん。

よし。できた。

『完璧。私、天才。』

「んー、いい感じ。ありがとね。」

『写真撮っていい？ていうか撮るね。』

「なんか今日テンション高いね。楽しそうでいいけど。」

だって、カッコ良すぎるんだもん。

なんでこんなに和服似合うんだろう。

「A、自分の用意は大丈夫？」

わ、もうこんな時間？

『着替えてくる！』