ホットココアをあなたに (ページ27)

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27話ページ27

「よし、今日はさ、ちょっと滑ってみない？」

『え、無理無理無理。』

「いいからいいから。靴借りておいたよ。」

え、どうしよう。枠につかまりながらなら？

ーー
『私、端っこの方でつかまって滑ってるから。気にせず練習してて。』

「え、いいじゃん。こっちおいで。」

『え、あ。無理無理無理。手怪我したらしゃれになんないし。』

ん？なんか企んでる顔。

「要するに転ばなきゃいいんだね。」

『え、ちょっと。ダメだって。降ろして。』

これっていわゆるお姫様抱っこってやつだよね。

『膝とかに負担になるから、だめ。ね、聞いてる？』

「大丈夫大丈夫。リフトぐらいできるよ。どう？」

どうって。

『やっぱりすごい速いね。スーッて進む感じで。』

「そうかな。いつもやってるからあんまりわかんないや。くるくるとか回ってみる？」

『ううん。私三半規管強くないよ。』

「そっか。よいしょ。とうちゃーく。どうだった？楽しかった？」

『うん。ありがとう。』

prrrrrprrr

『あ、ちょっとごめん。もしもし、如月です。』

「如月、休みの日に悪い。まずいことになった。」

ん？

『真田？どうかした？』

「502号室の佐竹さんわかる？」

『うん。明日、心臓のカテーテルやる人だよね？』

「そう。急変でさ。心筋梗塞起こしてる。」

あ、もしかして。

『開胸したいけど、輸血できないから無理ってこと？』

「そう。どうする？」

うーん。

『真田さ、ダヴィンチいける？』

ダヴィンチは手術支援ロボットのこと。

最小限の穴から器具を入れることで低侵襲なオペができる。

「え。無理だよ。今すぐ来れない？」

『私がここからいくんじゃ間に合わない。パソコン持ってきてるから、モニタリングならできるし、指示出しもちゃんとやるから。この前の真田のオペ、完璧だったしいけると思うの。やってみよう。一回通話切って、モニタリングシステムに入るね。』

あ、そっか。

『結弦くん、ごめん。ちょっと仕事入っちゃって。』

「全然大丈夫だよ。練習してくるね。」

ー羽生sideー

やっぱりAちゃんはすごい。

仕事の話になると空気感が変わる。

俺も頑張らなきゃっていう気持ちにさせられる。

よし。練習してこよう。

ー－－－－ー－－－
よし。4A決まった。

あ、Aちゃんも仕事終わったみたい。
様子見に行ってこよう。