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「オレね、彼女出来たの」
「え！？そうだったんですか！？」
「うん。もう別れたけど」
「…どゆこと？」
寂しげな、それでももう吹っ切れているような、そんな表情で話し出すもんだから、オレは訝しんだ。
「翔くん見てるとね、2人が羨ましかったんだよ。
オレも恋したいなって思ってさ…
でも、オレみたいなもう既に汚れたやつがピュアな恋なんて出来ないんだよね。わかってたのに、、
オレも2人の気持ち味わってみたくて…」
その声は少し震えていて、顔は笑っていても心は曇り空だと思った。
黙って続きを促すように頷く。
「きっとさ、美味しい料理があっても、それが好きじゃなきゃ美味しいとも感じないじゃん。
オレは味の分からない料理を食べてるんだよ、ずっと。だから、羨ましい、味のある温かい出来立て料理を食べている2人が」
彼の言いたいことが、全て分かったとは言えない。
でも翔さんが言っていた、大野さんは本気で人を好きになれないんじゃないかって。
遊び人だとは聞いてたけど、それは、遊びたくて遊び人になったんじゃない。
…ならざるを得なかった。
「大野さん。
…美味しいものでも、素材の味を生かしきれない味付けをしたら勿体無いです。
きっと、ちゃんと素材を生かせる調理をすれば、美味しいって食べてくれる人が現れますよ。きっと。」
「ふふ。…翔くんはいい素材にいい調理をした子を見つけたね」
大野さんがこの時初めて心から笑った。
「オレも、ちゃんと素材の味生かせるようにするよ」
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作者名：syuka x他1人 | 作成日時：2017年7月28日 23時
