この世にはいない。(S×J) (ページ9)

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-光-９ページ9

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「っていう事なんです」

「なるほどなぁ…魔法界か…未知なる世界だわ。
まぁとにかく、その杖が無い限り「ここ」にいるしか方法はないんだろ？同情してやるよ」

「えっ！？…じゃあ、ここに置いてくれるんですか…？」

「うん。ただし1週間な」

「1週間…短くないですか？」

「おいおい、置いてもらってる身で楯突こうなんて思うなよ
オレだって指名手配犯をかくまう事に対するリスクは大きいんだ。普通だったら犯罪な？

だから1週間で杖を奪い返す」

「手伝ってくれるんですか！？」

潤は目をキラキラと輝かせた。
さっきまで、杖を取り返すのはほぼ不可能だと思っていたのが急に光が見えたようであった。

潤は彼の手を取りぶんぶんと振ってその嬉しさを伝える。

彼はめんどくさそうにその手を握り返したが、満更でもなさそうだった。

「あ、名前。聞いてもいいですか？」

「オレ？櫻井翔。翔でいいよ」

「翔くん。」

「…うん。何」

「ううん。呼んだだけ」

「お前なぁ…」

潤は、自分の事を理解してくれた翔に対して感謝の気持ちと同時にすごく嬉しくなった。

憧れていた人間界、しかし自分の事を受け入れてくれるものが誰もいない地獄になっていたその空間を、彼が変えてくれたのだから。

とりあえず今は人間である彼に頼るしか方法はない、潤はそう感じた。