この世にはいない。(S×J) (ページ40)

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-闇-１２ページ40

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智が消えた後、2人の間に沈黙が流れる。

お互い違う場所をぼーっと見ながらただ時が流れるのをじっと待っていた。

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「…オレ、自分は闇だと思ってた」

翔が閉められた窓を見ながら呟く。

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「自分は人間界で生まれなかった、人間界で死ぬこともない、この世界から孤立した闇。
存在しないのと同じだって。

ずっと、魔法界に行きたいってそう願っていたよ、人間界はつまらないって…

ある意味お前と同じだな…。

でもそんなお前が、オレを光だと言った。
初めて、命を与えられた気がした…」

「翔くん……オレにとって翔くんは光だよ。
誰がどう言おうと、翔くんが闇だと言おうと光だから」

翔はまだ窓の方を見つめていたが、潤はしっかりと翔を見て言う。

その目には、ちゃんと光が写っていた。

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光と闇は紙一重

闇は光に、光は闇に包まれる。

ただ

輝きも

暗黒も

「不変」なものでは無いのだから、美しいと思えるのだろう。

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すると、光も闇も存在しないのかもしれない。

本当は、この世には誰もいないのかもしれない。

完