この世にはいない。(S×J) (ページ35)

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-闇-７ページ35

二宮は杖をまじまじと見て驚く。

翔は笑いながら二宮から杖を取り上げた。

そして二宮に全てを打ち明けた。

自分がもともと潤と同じ立場である事、潤を陥れようとしている事。

もちろん、二宮も理解してくれると翔は思っていた、が…

「ありえません。
そんな自分の私欲のために彼の大切なもの奪って…」

二宮は強引に翔から杖を取り上げ、力の限り逃げ、二宮が経営しているバーの奥に箱に入れてしまった。

翔に取られないようにするのと
今度潤にあったら返すつもりだったからだ。

しかし不覚にも、潤が指名手配される事になり
二宮は何もできなくなった。

一方で翔は満足していた。

潤が捕まるのも時間の問題だと思っていたのだ。

ただ、１つだけ問題があった。

杖を二宮から取り返さなければならない、でないと自分は魔法界に戻れない。

しかし、二宮はどんな手を使ってでも逃げるだろう事は、翔にも推測できた。

恐らく、杖を取り返せるのは、潤だけだと。

翔は潤の後をつけ、警察に潤の居場所を教えた。

潤が警察から逃れている時に、わざとぶつかり家へと招き入れたのだ、救世主を装って…。

.

.

「…そんな…。翔くんが、魔法使い…？
オレを陥れようとしてたって…」

「昔の父たちのほんの出来心が、オレらを苦しめてたんだよ。
きっと櫻井は潤の杖を自分の所有にした。
だから潤は魔法が使えなくなった」

「だったらどうして！？
…どうして魔法界に戻らないの」

「それは…わからない」

そう、それだけが謎だったのだ。

魔法界に一番の目的があるのなら、潤の杖で魔法界に戻ればいい。

それなのに、杖を手に入れてから1週間。

翔はそんな行動を起こさないのだ。