この世にはいない。(S×J) (ページ18)

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-光-１８ページ18

さっきから潤は思っていたのだが

どうして櫻井はこれほどまでに強い言葉をくれるのだろうか…

自分が櫻井の立場だったら絶対にオドオドしてどうしようってなっている筈だ。

しかし櫻井には自信が満ち溢れている様に見える、その自信が何処から来るのか、潤には全く分からなかった。

しかしそれを聞く勇気も無かった。

取り敢えず櫻井を興奮させない様にうん、と頷き、櫻井が書いた計画を受け取った。

そして携帯も渡された。

「これ、俺の携帯だから。
これで呟きとかを調べて情報を集めて。
集めた情報はどんな形でも良いからメモするんだぞ」

「はい…がんばります」

.

次の日、朝起きると家には音がなかった。

「んっ……、翔くん…？」

返事はない、きっと大学に行ったのだろう、潤は寝室を出てリビングに行くと、テーブルにはメモが残されていた。

《おはよう。よく眠れた？
俺は今日は学校に行ってくる。昨日伝えたように動いて。
帰りは4時半くらいになる翔》

その横には、トースターの使い方やコーヒーの入れ方が細かく書かれてあった。
人間界のものはうまく使えない潤のために櫻井が書いたものだった。

ありがとう、と潤はつぶやきパンを焼いてみる。

昨日と同様、美味しそうな香ばしい匂いがして気分が良くなった。

魔法界では、こんな風に何かの匂いを気にしたり、作業をしたりする事はほとんど無いに等しく、こうやってゆっくり過ごせる日々はやっぱり悪く無い、と潤は考えていた。

.

ずっとここにいれたら……

.

ブンブンと首を振ってその思いをかき消す。

今自分がここにいる事は、櫻井に迷惑をかけているのだ、自分は、ここにいるべきでは無い。

そう言い聞かせてトーストを頬張った。