-光-１５ ページ15
「…いやっ、違いますね…」
「…あれっ？……おかしいな、これじゃないんですか？
ちょっと待ってくださいね」
ニノミヤが急に焦り出してカードを荒く切り始めた。
カードが当たることはない、何故なら潤の魔法のせいで54枚の山札は全てハートのジャックなのだから。
ニノミヤはカードを見て衝撃を受けた顔をする。
他のバーテンダーもニノミヤの絶句に気付きこちらへと寄ってきた。
「一体どういうことですか…？ニノミヤさんが失敗なんてあり得ない」
「…まさかさっきの客…」
「なんかニノミヤに変な事言ってたよな？」
さっきの客…翔くんだ、と潤は思った。
翔くんは一体どんな細工をしたのだろう…
「もしかしてあの杖…」
「杖の話はするな！！」
杖…。心当たりしかなかった。
潤の魔法の杖である。
やっぱりこの店に杖があるのか、と潤は理解した。
しかし彼らは杖の威力では無いのかと疑って恐れていたが実際そんな事はない。
きちんとした魔法の使い方を知らないと、というかまず魔法使いの血を受け継いでいない限りは杖を使う事はできないからだ。
.
「あの…杖ってなんですか？」
潤は何も知らないふりをしてニノミヤに杖のことを聞いてみる。
「え？いや、何でもないです…お客様には、被害のないようにしますので」
だんだんニノミヤの声が小さくなり後ろをむいてグラスを吹き始めた。
潤は飲んだこともない酒を一杯だけ頼むと、それをグイッと飲み干してお金を置いて店を出た。
店の前では櫻井が座って待っていた。
「うまくいったみたいだな」
「！？何でわかるんですか！？」
「その顔見たらわかるよ、失敗したやつの顔じゃない。どうだった？」
「オレの杖、この店にあるのは間違いないようです。ただ、杖に関しては何も聞けませんでした」
「そうか」
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作者名：syuka x他1人 | 作成日時：2017年6月20日 20時
