【BL】家政夫を攻略するのは難しい。②【オリジナル】 (ページ12)

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十一仕事ページ12

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「おっそうじ、おっそうじー」

適当に口ずさみながら、双葉は箒を持って外に出た。

玄関の扉は開けたままにして、玄関の掃除を始める。

双葉がこの久世邸に家政夫として務めた最初の時は、荒れに荒れ、汚れに汚れていたが、今ではずいぶん綺麗になった。

もちろん、この綺麗さを保つためにコマメな掃除は欠かさない。

双葉は、玄関に溜まった泥、砂、小石を外に掃いていく。

掃除の範囲は広いが、出入りする人間はだいたい二人だけなのでゴミも少ないため、サッサと終わらせる。

「んなぁ～」

背後から小さな鳴き声がした。
近づいた気配に気づかなかった双葉は、少し飛び上がり、声の方向を見た。

「うぇ、り、リト……？」

双葉の右足に体を擦りつける仔猫は、にゃう、とまた鳴いた。

擦りつけてくるのは大変可愛らしいが、リトの立つ場所はほとんど外である。

室内で猫を生活させている身としては、外に出てもらうと相当困る。

わざわざ足やらの汚れを落とさないといけないので、すごくめんどくさい。

あと、そのまま外に出て帰って来なかった場合を考えると怖いものがある。

「リト、お願いだから少しの間玄関でじっとしててくれないかな？」

双葉がそう懇願すると、リトはじっと双葉を見たままその場に座り込んだ。

あ、綺麗にするところ増えちゃった。

じっとするまでは良かったんだが。

言葉で言うより、自分の手で抱き上げて連れて行った方が早かったと気づくが、時すでに遅し。

そして、双葉は素早く後処理を済ませ、リトの体を濡れタオルで綺麗にしたのだった。

「＿…って、事があったんですけど」

「そうか…柵でもつけて行動範囲を決めさせるか？」

双葉は、久世と夕食を共にしながら日中の出来事について話した。

双葉は久世の提案になるほどと頷きながら首を傾げた。

「猫って高いところを簡単に飛び越えるイメージがあるんですけど」

「気休めにはなるだろう」

「あ、そうですね」

すぐに解決されたのだった。

「そういえば、うちの猫たちって結構賢いですよね。待てって言ったら待ってくれるし」

「……そうだな、“ウチ”の猫は賢いかもしれないな」

ウチ、を強調させながら共感する久世は、ニヤニヤしていた。

「(久世さんちの、とかではないんだな)」

双葉の一つ一つの言葉に嬉嬉として、心の中で反応する久世だった。

住み込みにさせた過去の自分を褒め讃えたいところだ。

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