蝶 道。【ブルーロック】【男主】

#19 ページ23

なぁーはやくー、と親鳥に引っ付いてまわる雛鳥のごとく周りをうろちょろしている士道くんにどうしようかと頭を抱える。

「10ゴール入れた!!出掛けようぜアゲっち!!」

と、外出に誘われたのが10分前。
「出ていくなら１人でさっさといけ、こいつは連れていかせない」と、甚八くんに一刀両断されたのが5分前。
なんでだよと士道くんが暴れだしモニターを切られたのが3分前。
「もう勝手にいこうぜ」と言い出したのが1分前。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿そして今に至る。


「アゲっちも俺と行きてーよな」

『出掛けたいけど、甚八くんがダメって言ったしなぁ』

「は？俺じゃなくてあいつの言うこと聞くの？」

『あんまり勝手なことすると追い出されちゃうし』

いや追い出されるなんてことは、太陽が西から上り東へ沈むと同等の確率で無いのだが。
せいぜい甚八くんの部屋から出られなくなるぐらいだろうな、でもそれは困る。せっかくみんなと仲良くなれてきたのだ。さよならするにはまだ早い。

「聞いてまちゅかー？」

『んー。どうしよ』

こうなったらアンリちゃんにでも そう思い、即行動だと扉に手を掛けると同時に勢いよく開いた。
驚いて２、３歩下がるとそこに立っていたのは、今まさに向かおうとしていたアンリちゃんだった。

『あの、お願いがあるんだけど』

「士道龍聖くんとのお出かけだよね。確かに10ポイントは確認しました、いいですよ行っても」

「やった♡行こーぜ」

『え、いいの、』

「絵心さんには私から言っておくから。学生だもんね、たまには外で遊んで疲れを癒してきて。でも条件があります。マスクをつけること、それとこれ。持っていて」

渡されたのは防犯ブザー。見覚えがあると呟くと「この前あげたやつと同じのだからね」と言われた。
この前の……ああ、458個目のやつだ。赤くて薔薇のマークが付いているのがおしゃれ。

「いいですか士道くん、ぜっっっったいに変なことしちゃダメですから。スマホにGPS入ってるのでどこへ行っても場所は筒抜けですし。Aくんも、いつもみたいに危ないと思ったらすぐブザーを鳴らすこと。マスクは取らない。30分ごとに連絡。どこに寄ったのか写真を撮る」

『うん、分かってる』

「めんどくせー、ストーカーかよ」

「…弟なので」

「え、じゃあ俺にアゲっち ちょーだい」

「おととい来やがれです」

『行ってくるね』









「いただいちゃいまーす」

「あ゛？私の可愛い可愛いAくんは汚させませんが」

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