狙うは世界一の妻【ブルーロック】【男主】

#16 ページ19

突然だが 君はラブ・ロマンスは好きかい？

ああ、僕はよく観るよ。


……そう、君は見ないのか。
なら、観たくて堪らなくなる話をしよう。


1人のサッカープレイヤーがいる。
名前はA・ユウェル。
そう、君も知ってるだろう。現状 世界一のMFさ。

　

彼のパスでシュートを決めたチームメイトは言った。

「熱いキスをした」


彼にパスカットされた敵チームのプレイヤーは言った

「誓いのキスを前に相手を略奪された」


彼の手駒になろうとパスを求めた交流相手の即席チームメイトは言った。

「共に一夜は過ごせなかった」




不思議に思わないか？
試合を終えた選手は皆、彼とのプレーをラブ・ロマンスのように例えるんだ。
彼が主人公(ヒロイン)。自分は相手役、当て馬役、仲のいい友人役、etc……



A・ユウェルが出ている試合を観戦した人間は必ず、口を揃えてこう言う。

まるでロマンス映画でも観ていたようだ、と。





彼がピッチの上で表現しているのは自分を主役とした1つの恋物語なんだよ。
サッカーの神様から与えられた数々の才能を使い、描いた脚本通りに試合を進める。

プレイヤーは全員 恋物語に登場するキャラクター。
友人、ライバル、姑、恋人の父親、恋い焦がれる相手。役を割り振り最後まで演じきらせる。

1つ1つの動作は全て、ハッピーエンドを迎えるためのシナリオ。
ボールを蹴る表情は 恋への情熱に満ちている。




味方と敵。
ピッチ上に存在する全ての人間を巻き込んだ大恋愛物語。




それを観客に向けて上映する彼には"世界一"と、もう1つ、こんな呼び名が付けられている。

恋物語の乙女






ロマンス・メイデン






どうだい？
観たくなっただろ。



彼のラブ・ロマンス(プレー)。

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