#58 -MS- ページ8
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「お客様、サイズの方はいかがでしょうか？」
カーテン越しに聞こえる声に募る焦りと吹き出す汗
「…フッ！…ホッ！」
この腹！！
この肉！！
「お客様？大丈夫ですか？」
デニムの試着。
下着の試着に比べればへでもない。けど、
なんせこの腹の肉！
「…ヨッ！」
何度目かの深呼吸でやっと閉まったボタン。
はぁ〜…閉まった〜…
「ワンサイズ大きい物お持ちしましょうか？」
「こ、これで大丈夫です！」
こうなったら意地でも履いてやる。
「ありがとうございましたー」
他にもパーカー、シャツ、リュック、キャップ
気が付けば両手を塞ぐほどの紙袋。
図書館での情報収集に行き詰まった俺は
絶賛自由の身を満喫中。
いや、これは元々のあいつのお気楽さがだな…
ほら、この思考回路は俺のじゃない。元の持ち主譲りだ、絶対。
「ふぅ…」
風呂上がり。
頭を拭きながら鏡に映った今の自分を見る。
上半身はこの前買ったタンクトップ
下半身はテロンとした綿のルームウェア。
ボケた顔した犬のイラストが付いてるけど、まぁそれはまだ許容範囲。
その中はタンクトップと一緒に買った真っ黒なボクサーパンツだし。
かわいいの欠片も無いからな。
もちろんここまでの一連の流れは約束通り真っ暗な風呂場を経て辿り着いてるわけで。
断じてハッキリは見ていない。
しかしながら現実的には完全盲目は不可能なわけで、そこはまぁ薄目で。
でも見てはない。
どこがどんな色とか本当に知らない。
見たところでこの腹だし？
反応するものもないし？
って、何考えてんだ俺は。
店で目に入ったついでに買った、いつも使ってた化粧水をコットンに染み込ませて顔を滑らせる。
"私のはチャッチャッでいいからね"
なにが、チャッチャッだ。
見てみろ、俺のおかげで乾燥知らずの潤い肌だ。
「…ッフッ！ん〜…ッヨッ！」
肌の次はこの腹！
この甘えに甘えさせた体を変えてやるー！
ってことで腹筋。
ただ気持ちだけじゃ筋肉皆無の体は着いて来れず…
「…ダメだぁぁ」
で、情けない声と共に脱落。
腕立ても同様に 脱落。
ム。
"本当に持ってないの？"
脱落した体がパイプベッドの下の隙間にジャストフィット。
そういうお前はどうなんだよ。
うつ伏せのまま手を伸ばして。
暗闇から生還した手が掴んでたものは
漫画雑誌。
…ゲッ。
パラパラとちょっとめくっただけでわかってしまうベタな恋愛もの。
どこまでも典型的なヤツだな
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充(プロフ) - こぴさん» 初めまして。コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。ご期待に添えられるかはわかりませんが頑張ります！ (2018年6月10日 13時) (
レス) id: 3ca51a9912 (このIDを非表示/違反報告)
こぴ(プロフ) - 初めまして！お話がとっても好きでいつも更新楽しみにしてます！^ - ^ 頑張ってください^o^ 応援してます！ (2018年6月10日 3時) (レス) id: 7e86bbb7b1 (このIDを非表示/違反報告)
充(プロフ) - 柚子さん» わぁ！ありがとうございます(*´∇｀*)まだ続きますが完結できるようにがんばります！ (2018年5月7日 12時) (レス) id: 3ca51a9912 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - とても面白いです！続きが気になります(^o^)あまりご無理せずに頑張ってください！ (2018年5月6日 21時) (レス) id: 2d3643aa8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充 | 作成日時：2018年3月17日 19時
