月夜の願い。 (ページ7)

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ki side

「北山？コーヒーでいい？」

「あ、うんありがとう。」

「いえいえどうしたの？わざわざ俺んちまできてなんかあったんでしょ？」

コーヒーを置くと優しい口調できっと彼なりに言いやすいように配慮してくれたんだろう。

どこまでも完璧なんだと思った。

「えっと…藤ヶ谷の声聞きたくて…ごめんっ迷惑だったよね」

「そんなことないよ。北山から必要とされて嬉しいよ？」

「そんな事言われたら期待してしまうよ(笑)」

言った時にはしまったって思った。なんて誤魔化そう、どうやって空気を変えよう。そんなことばっかり考えてた。

「いいよ？期待して。その代わり俺も期待していいってことだよね？」

ﾁｭｯ…

「え…？」

俺の唇に何かが触れた感触。

それが君からのキスだって感じるにはそう時間はかからなかった。

「俺、北山のこと好きだよ。北山は？」

「えっと俺もっ好き…//」

「可愛すぎ。もう離したくなくなっちゃうよ。俺と付き合ってください。」

「こんな奴で良ければお願いします。」

「緊張したぁ～！宏光大好きだよ？」

「俺もっ大好き…//」

突然宏光って呼ばれて結構ドキッでした。

これだけの奇跡が起こるなんて神様が味方に付いてくれたんだなって思った。

「ねぇ宏光？」

「ん？」

「太輔って呼んで？」

「たい、すけ？」

「はいよく出来ました～ﾁｭｯ」

「ｯ！//」

「宏光照れてるの～？かわいっ」

「ｯ…ばっか！照れてねぇーし！」

「照れてまーす(笑)」

幸せだと思った。

これだけの奇跡が起きたんだ。

寿命だって伸びる奇跡も起こるかもしれない。

そうでしょ？神様。

ここまで幸せを与えておいて絶望の果てに落とさないよね？

まだ太輔のそばにいれますよね？

デートしたり出来ますよね？

僕を連れていかないで。

神様に目をつけられるくらいそんなにも僕は悪い子ですか？

ダメな子でしたか？

なんとか言ってください。

その方がきっと僕の心も晴れるから。

でもそれと共に今までにない苦しさにこれから太輔を苦しめるかもしれない悔しさに初めて涙を流した。