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なんとなく金髪の青年が通ったであろう方向へ2人で進み始める。
「あれぇ、どちらさん?」
頭上で声がして上を向くと、木の上に黒髪の青年が座っていた。
「あの、道に迷っちゃって…」
「ああ、そういう事ね、ちょっと待ってよ〜…」
よいしょ、と綺麗に地面に着地した青年は樹の隣に立つジェシーを見て、目を丸くした。
「えっ、ジェシー!!?」
森の薄気味悪さと、さっきの金髪の青年の事で頭がいっぱいになってたジェシーは青年に気がついていなかったようで。
「っえ、しんたろー?」
ええ、しんたろうじゃん!久しぶり〜!!なんていって2人でいぇーい!とハイタッチを交わしている。
あれ、これ俺置いてけぼりじゃんか…
「この子、ジェシーの子?」
「そう、俺の主!」
「樹です、初めまして。」
えー、めっちゃイケメンじゃん!いいなあ〜!なんて大声で羨ましがるしんたろー?さん。
「俺、しんたろうです。よろしくね!」
素早く出された手におずおずと手を出してぶんぶんと握手をする。握手にしてはとても荒く激しい気がするがそこは元気がある、という意味を込めてあえて何も言わなかった。
□□□□□□
3人で森から抜ける為に森の中を歩く。
少し遠くから誰かがこちらに歩いてくるのが見えた。
あれ、さっきの金髪の人…??
ジェシーにねぇ、と話しかけようとした時だった。
「あー!たいが何処行ってたの〜!!」
探したんだからね?と金髪の人に釘を刺すしんたろう。
ごめん、と一言言うと2人の存在に気がついたのか少し脅えた目でしんたろうの後ろに隠れてしまった。
「たいが、だよね?」
「そ、う、だけど…」
良かったあ〜、俺、人間違いしたのかと思った…とジェシーは安心したのかしゃがみ込んだ。
案の定、また樹は置いてけぼりになっている。
「あ、樹に紹介するね。こいつ、たいが!」
俺の兄貴〜!とたいがを前に押し出して紹介してくれたしんたろう。なんでも、2人は向こうの世界に居た時家が近所で仲が良かったそうで。今もこっちの世界に来てからもよく2人で居るらしい。
…さっきは、逃げちゃってごめんね?と少し控えめではあったが優しい微笑みで謝られた樹は少し戸惑ったが、全然大丈夫、むしろ怖がらせてごめんね、と伝えて2人は和解した。
「羽白いし、昔より歌上手くなってたからドッペルゲンガーかと思っちゃったじゃんか…」
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作者名:星屑。 | 作成日時:2020年11月28日 3時