Giurare (ページ23)

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10：Raid ページ23

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村の最奥にその村の宿屋は建っていた。
時は夕暮れ。暗くなっては危ないと判断した2人は既に宿屋の一室に居た。
樹の兄達を探すのは日が昇る早朝から、という事に2人で相談し合いその答えに落ち着いた。

深夜。客室にはひとつの寝息と時計の秒針が動く音が静寂の中に響いている。
寝息はひとつ。そう、ひとつだけ。樹は眠れないでいた。

………寝れねぇな、

目を閉じても静寂な空間に大きく響く秒針と少しの耳鳴りがうるさくて、眠るにも眠れない。
客室の外の廊下で従業員が小声で何か会話をしていたり、足音がしたりしていた。そんな廊下の状態から連想させられるのは、学校での宿泊行事の際に廊下で見張り担当をしている教諭が何故か頭に浮かんだ。

あまりにも眠れなくて、一度水分を摂る為にベッドから少し冷えた床にあるスリッパを履いた時だった。

___ガチャガチャ！！！！！！！

扉が音を立てた。こんな深夜に従業員が客室に来るだろうか？
あまりにも怪しかったが、これで何かあったのに2人共出なかったから従業員が困るのは少し気の毒な気がして、足音を殺しながら扉に近づく。ゆっくりと鍵を回して扉を開けた。
だが、廊下には誰も居なかった。先程まで少し騒がしかった廊下は静まり返り、チェックインした時より廊下のライトは暗めになっていて。特に変に変わっている所はなかった。

(気の所為、か…？)

なんだったんだろう、と思いながら扉を閉めようとした時、閉まっているはずの向かい側の非常階段の扉が勢いよく空き、男が2人こちら側に向かって走ってきた。
非常階段内は常備ライトが着いている訳ではなさそうだったので、肝試しかなんかでもしてたのか？なんて思いながらぼんやり男達を目で追ってしまった。
ただ、それが間違いだったのだろう。男達は樹に向かって走って近づいてそのままスタンガンを首に当てた。秒過ぎる仕事の速さに圧倒される間もなく、樹の意識は深い闇へ落ちていった。