drown078 ページ32
───
「向坂Aと言います。マネージャーみたいなものだと思っていただければ」
「……ハァ、モブの名前なんざ覚える気ねぇよ」
「はい、よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げて、頭をあげる。
何か話しかけようかとも思ったが、少し向こうにいる彼の放つ圧倒的話しかけるなオーラを見て出していた左足を引いて右足に揃えた。
ただじっと待つ彼の立ち姿を眺める。
確か身長は186センチと書いていた気がする。ボディースーツ越しに見えるバランス良く付いた筋肉、発達したハムストリング、だけでなく足も長くてスタイルが良い。綺麗なEラインに長い下まつげととても綺麗なターコイズの色をした瞳。
そこらの女の子が放っておけない美男子。
彼を見ていれば、どうしても1人の顔が脳裏を過ぎる。
(やっぱ兄弟─────)
「おい」
「はい」
「用があるならさっさと言え」
「さっきから視線がうるせぇんだよ」と呆れたように言う。
「あぁ、えと、やっぱり似ているなぁ、とか」
「……あﾞ？」
「ぇ」
こちらを睨むターコイズとドスの効いた声に思わず声が零れた。その瞳と目が合う度に心臓に有刺鉄線でも巻かれているのか、チクチクと痛んで締め付けられる。
「し、失礼しました」
そう一言だけ告げて視線を逸らす。
どうやら地雷を踏んだらしい。人の地雷というのはほんとうにどこにあるか分からない。
その場を離れたくても離れられなくて、動きたくても動けない。ただ今は視線を逸らすだけで精一杯だ。
(誰でもいいから早く来てくれ……！！)
彼の視界に入らないところで下唇を噛んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 218人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：shiori | 作成日時：2024年1月20日 19時
