drown060 ページ14
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中身を用意したドリンクボトルと籠に入れたタオルを台車に乗せてロッカールームへと走る。コンクリート造だし外の音が部屋まで騒がしく聞こえてしまうことは無いだろうが、ゴロゴロと鳴るキャスターの音がよく響くのでたまに起こしてしまわないか心配になる。
いつもより少しだけ早く起きただけでもなんだか時間に余裕があるように感じる。ロッカールームに誰もいないことを確認して多めに準備したタオルと人数分のドリンクをおいてそそくさと退散し、次の部屋へと向かう途中だった。
「向坂、おはよ」
「御影さん。おはようございます」
ばったりと御影さんと遭遇した。私がロッカールームに入った後に動いていたのだろうか。まだ選手の起きる時間でもなく、「早いですね」と言えば「なんか目ぇ覚めてさ」と笑って言った。
「あれ、お前目ぇ悪かったのか？」
彼は自分の目元を指差してとんとん、と指先で叩きながらそう言った。
「うーん、まぁそこそこですかね」
「眼鏡も似合うな」
「そうですか？」
私は1度眼鏡を外そうとしてハッとする。いや、なんのために今日わざわざ眼鏡にしてると思っているんだ。眼鏡を握った手をぱっと離すと不思議そうに首を傾げた。
話題を変えるべく、一度こほんと咳払いをする。
「今日最終戦ですね」
「おう。まぁ楽勝だろ」
「さすがですね」
そう言うと「まぁな」と自信たっぷりな返事が返ってきた。
その自身はどこから、きっと彼の血の滲むような努力から。あとは彼が宝物と称する凪さんの存在が大きいはずだ。
「まぁ、逆に負ける要素が見つからないって感じじゃん？」
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作者名：shiori | 作成日時：2024年1月20日 19時
