drown059 ページ13
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期待とプレッシャーは紙一重とはよく言ったものだ。
「頑張れ」とか「期待してるぞ」とか「お前なら出来る」とか。鼓舞する言葉は、私にとって全てストレスでしかなかった。それらが全部重しになってみんながどんどん、どんどん私を追い抜かしていく。
待って、置いてかないで。
いつからそんなことを思うようになってしまったのだろうか。ただ楽しくてやっていただけのことなのに、期待されて、足枷を付けられて、勝手に後ろめたくなって。
なんでこんな事やっているんだろうって。
苦しくなって、それで─────。
パチリと目が覚めた。
目を瞑ったまま枕元を探ってスマートフォンを持ち上げる。横の電源ボタンを押して目をすぼめながらブルーライトを浴びた。どうやら目覚ましはまだ鳴っていない、いつもより10分ほど早く起きたようだ。
「─────はぁ〜〜……」
アラームを解除してそのままスマホを持った手を投げ出し、反対の腕で目を覆う。脂っこいものと甘い砂糖を食べた後の胃のむかつきのようなものを感じる。気持ち悪いな、こんなに目覚めの悪い朝はとても久しぶりだ。
呻きながらゆっくりと体を起こせばガツン、と頭を殴られたような重みに引っ張られる。
いかん、こんな時こそさっさと切り替えなければ。
ぺちぺちと頬を叩いて袖机のメガネを持ってベッドから降りる。歯を軽く磨いて、ストレッチをして、朝食を摂って、歯を磨いて、ジャージに着替えて髪を結ぶ。
「……クマ」
コンタクトを入れ終えたあと、鏡に映る自分を見て目の下を撫でた。寝付きが良かったとは言えない。
「今日は、眼鏡にしとこうかな」
取り出したコンタクトをケースにたっぷりと注いだ液に浸し、眼鏡をかけ直した。
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作者名:shiori | 作成日時:2024年1月20日 19時