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me side
冷たい石畳の道。
きちんと舗装され、磨かれた花崗岩が光を反射するこの石門が、あの時の私には恐ろしかった。
門番のいないそこをくぐり、静まり返った深紅のカーペットを歩く。音を吸収するこの柔らかささえ、今の私には憎たらしい。
──.......、ぁ
訓練所の脇、こじんまりとした林に囲まれた花園。
色とりどりの花が咲くここは、しかし草花は何一つ生えてはいなかった。
──もう、なにも.....
がくりと膝をつき、愛でていた花があったであろう場所を触る。可憐な精気で満ち溢れ、爽やかな香りと共に私の心を癒してくれた拠り所が、此処では無惨にも散っていた。
──...誰も、お世話してないんだな
私が今いる時空が、過去なのか未来なのかは分からない。死んだ現世の未練がもたらした幻影か、彼岸にも此岸にも渡れない、揺蕩うだけの憐れな妄想か。虚しくも賢しい願望が創り出した夢であったら、きっと私は報われただろうに。
──.............、？
鳥が、鳴いた気がした。
空を見上げても雲はなく、青天に染められた視界の端で、きらりと何かが動く。咄嗟に目を細めて姿を捉えれば、
吹き出した鮮血をぶちまけたように散りばめられた胴体に、深い藍色のすらっとした線が入る腹部。光によって黄金に輝く橙の羽根と、繊細な色味が華麗に流れる頭部。上空を3回ほど旋回して、不思議な魅力の鳥は私の近くに舞い降りる。黒真珠をはめ込んだかに思える瞳は知性すら垣間見え、じ、と見つめられるだけで足が竦んだ。
──......。
鋭い鉤爪が、見た目に合わない歩調でふんわりと土を掴む。手を動かせば触れられる距離に近寄ってきた優美な鳥の脚元から、次第に光が溢れてくる。
風の揺れる音だけが響く空間で、目の前の鳥は蔦に包まれていく。そうしてついぞ動かなくなってしまった蔦の塊の、私の目線くらいにぽつんと顕れた、蕾。
──.....は、な？
どこかで見た事が、ある気がする。
この場所で、かつて咲いていたのだろうか。
さっきの、目に焼き付いたあの鳥のような、奇麗な花が咲くのだろうか。
──.....見たかった、な
多分もう、この場所には来れないだろう。
父さんと母さんに会えたように、大切な思い出として刻まれていく。
──...なら、私は。
...最期に、もう一度だけ、行きたい場所がある。
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ぽてち(プロフ) - もう1人の私と私の会話で苦しくなりました。壊れてゆくのを現するのがお上手すぎて頭が上がりません！花言葉を知っていた私は見た瞬間奇声を上げながら号泣。人には得意不得意あって尊重するべきと学べる素晴らしい物語でした。有意義な時間をありがとうございました！ (2023年4月11日 8時) (
レス) id: b72c422986 (このIDを非表示/違反報告)
ビニール袋vll - コメント❌小説⭕️ごめんなさい誤字ってしまいました (2022年12月2日 16時) (レス) @page42 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
ビニール袋vll - そして作者さん、とても感動して素晴らしい作品を描いてくださり有難うございます。素敵なコメントを書いてくれたあなたに幸あれ (2022年12月2日 16時) (レス) @page42 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
ビニール袋vll - ネコさん» 嫌いなら嫌いで自衛するべきです。わざわざここのコメ欄に書く必要はあるのでしょうか。下の方々のようにとても楽しんでいる方達もいます。そのようなアンチコメントは心の中でとどめておいてください。とても不愉快です。 (2022年12月2日 16時) (レス) @page42 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 人に酷いことしたのに幸せになる物語嫌い (2022年8月21日 17時) (レス) @page42 id: 0cd09c89d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Toki | 作成日時：2021年3月4日 7時
