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me side
軍事国家といえど、政治基盤の中枢には政治家や閣僚もいる。城を出て先ず見えてくるのが議事堂で、軍部から降りてきた予算のことやその他諸々について話し合っているという。その真っ白な建物を抜けて見えてくる城下町は人で溢れ、書記長とすれ違う度に、彼らは温かい声で出迎えていた。
tn「街降りたことは無いん？」
『...ない、です。1回も』
tn「ならびっくりしたやろな。あ、俺が行きたいところはこっちやで｣
『あ、はい』
手首を握られたまま、人混みから逃れるように歩き続けること数十分。喧騒が離れ、向かい側からの通行人もいない道から、舗装のされていない獣道のような草で入り組んだ中へと入っていく。鬱蒼とした林を掻き分けて、突然入ってきた光に目を慣らすと、見えてきたものは。
『...ここ、は』
tn「ええ景色やろ？俺、ここ好きやねん」
ふっと拓けた視界に飛び込んできたのは、森の中に隠された小さな湖。池と呼ぶには少しばかり大きいそこは、透き通った青緑の水に周りの木々が反射して映っており、瑞々しい精気に満ち溢れた、秘匿されし孤独の空間だった。
そよ風に靡く湖面の光が、夏葉の奏でる揺らぎと同化する。水面のギリギリに寄って腰を下ろした書記長は、いつもとは違う、随分と穏やかな声をしていた。
tn「仕事疲れたときとか、1人になりたい時によく来るんや。あいつらはだーれも知らん、俺だけの秘密基地」
純真な少年のように微笑む書記長の、普段見られないおずおずとした態度と雰囲気は、萎縮したままの私の身体を徐々に解していく。
『...私に、教えて良かったのですか』
後ろに控えながらそう問うと、水の匂いを嗅ぐように目を閉じた書記長が、1つ息をついてから言葉を返す。
tn「うーん...なんやろなぁ.....」
──息抜き、させたかったんよ
『...息抜き.....、？』
──私に、何故。
その一言を飲み込んで、距離を置いて隣に座る。足を崩して寛ぐ書記長は、無言の私を覗き込んでから、ぱっと後ろにゆっくり倒れた。
tn「俺寝るわ。西陽が見えたら起こしてな」
『あ、はい』
じゃ、おやすみ。
後ろ手に腕を組んで目を閉じた書記長からは、少しして規則正しい寝息が聞こえる。無防備に眠る書記長の優しさと意図が分からなくて、突然込み上げてきた涙の意味が分からなくて。
『.....、』
どこからか感じる、懐かしさ。
溢れ出る何かに蓋をするように、ひたすらに凪ぐ水面を見つめた。
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ぽてち(プロフ) - もう1人の私と私の会話で苦しくなりました。壊れてゆくのを現するのがお上手すぎて頭が上がりません！花言葉を知っていた私は見た瞬間奇声を上げながら号泣。人には得意不得意あって尊重するべきと学べる素晴らしい物語でした。有意義な時間をありがとうございました！ (2023年4月11日 8時) (
レス) id: b72c422986 (このIDを非表示/違反報告)
ビニール袋vll - コメント❌小説⭕️ごめんなさい誤字ってしまいました (2022年12月2日 16時) (レス) @page42 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
ビニール袋vll - そして作者さん、とても感動して素晴らしい作品を描いてくださり有難うございます。素敵なコメントを書いてくれたあなたに幸あれ (2022年12月2日 16時) (レス) @page42 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
ビニール袋vll - ネコさん» 嫌いなら嫌いで自衛するべきです。わざわざここのコメ欄に書く必要はあるのでしょうか。下の方々のようにとても楽しんでいる方達もいます。そのようなアンチコメントは心の中でとどめておいてください。とても不愉快です。 (2022年12月2日 16時) (レス) @page42 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 人に酷いことしたのに幸せになる物語嫌い (2022年8月21日 17時) (レス) @page42 id: 0cd09c89d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Toki | 作成日時：2021年3月4日 7時
