募る不安 ページ8
em side
tn「エミさん、大丈夫や。少し落ち着き」
「あ、ありがとうございます...」
トントンさんが淹れてくれた、温かい珈琲を飲む。彼も疲れているだろうに、そんな素振りも見せずに気を遣わせてしまいなんだか申し訳なかった。
──Aさんとの連絡が途絶えてから、もう4日。
グルッペンさんは憔悴して不安げだし、前線を押しているとはいえ目下の新型兵器についての情報もなく、Aさんの安否もわからず。幸いにもインカム自体は生きているそうだから、妥当に捕まってしまったのだと推測する。
「問題は城まで追い込んだ時やな...」
tn「あぁ.......前線自体は維持出来とるし、兵士の疲労も少ない。多少無理して突っ込んでも大丈夫やろうけど」
「Aさんからの通信が何も無いので、馬鹿正直に突っ込むのは危険すぎますからね」
tn「ああ。ゾムを送り込みたいところやけどあいつは城の構造知らんし...Aが今どうなっているのか分からんからな...」
──もどかしい。
戦争とは、もっと心が踊るものではなかったのか。
たった1人の存在で。
こんなにも、心乱されるものだったのか。
いや、私よりもっと。
「...グルッペンさん、どうしてはります?」
心が乱れている人が、此処にはいるのに。
tn「.....今はまだ無理やな。あの様子じゃあ」
赤いマフラーが、総統室の奥にある扉を向く。
微かに揺れる彼の瞳から、目の前に広がる地図へと向き直った。
「グルッペンさんのためにも、なにか策を講じないと.....」
ゾムさんは送れない。
前線を張っているコネシマさんたちも、同様。
──誰か、いないのか。
「──俺が行くよ、エミさん」
tn「え...でも、オスマンの護衛が」
os「それなら平気めう。俺だって自分の身くらい守れるめうよ」
「ですが」
「大丈夫。俺とマンちゃんは外交であの城に入ったことがあるから。...お願いエミさん、行かせて」
白い、ばってんマスクの彼が、丁寧に頭を下げる。
誠実な彼を前にして、私は頷かざるを得なかった。
「...Aさんを頼みます、ひとらんさん」
ht「うん。...でも、その前に」
tn「?」
くるりと向いた方向は、重い雰囲気の彼の自室。
ht「グルッペンに、喝入れなきゃね」
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(。・ω・。) - 子れは神ですか?神ですね(自己解決)ありがとうごさいますm(_ _)m (2021年12月29日 10時) (レス) @page38 id: 564be5b250 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - うおうおうおうおうおうおう……ッッッ(混乱)なんだこれなんだこれ…!ずっと更新待ち望んで見るぞーって思ったらめっちゃ一気に話出てるし尊いしgr氏の獣みすきだし、夢主おめでとうだし……ッッ!!ここが天国ですね(昇天) (2021年1月4日 1時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
Toki(プロフ) - おぼろどうふさん» ありがとうございますっっ! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 077d8e943d (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - おかえりなさぁぁい!!待ってました! (2020年11月21日 19時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - Tokiさん» 困惑と思惑4、の最後の言葉、すごい鳥肌が立ちました。いい意味です!もう、最高ですか… (2020年9月30日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Toki | 作成日時:2020年7月24日 21時