同じだったの ページ7
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聖獣というのは、長生きで身体が強く、その上自然治癒力が物凄く高かった。そんな化け物の血を飲んだのだもの、貴女が化け物みたいな身体能力を得たのも、納得でしょうね。
噂は真実としてこの国に広まり、やがて私の上司は貴女を欲するようになった。原石は磨けば美しく光り輝くものよ。きっと彼は、自らの手で貴女を磨こうとしたのね。
──人間兵器として、だけど。
そこで派遣されたのが私だった。
貴女の家の下女として働きながら、よく貴女のお世話もしていたのよ?
まあ、覚えていないだろうけどね。
貴女が、グルッペン・フューラーと許嫁としてフューラー家に遊びに行くのを見ながら、本当にこの娘が血を飲んだ"黒狼の娘"なのか判断しかねていたわ。
でもある時、貴女の父親が貴女を連れて夢幻の森に入ることを聞いたの。
私は1従者に過ぎなかったけれど、使命感と好奇心に駆られて無理やり許可を経て付き人になった。
──圧巻だったわ、黒狼の長というのは。
私は聖域に入ることは許されなくて、他の付き人たちと一緒に待つしか出来なかった。でもほんの一瞬だけちらりと見えた大きな体躯は、私たち凡人を竦ませるのに充分だった.......。
「──これが、貴女に話したかった昔話」
ギィ、と座っている椅子の錆びたボルトが鳴る。
静かに話を聞いていた彼女は、少し納得のいかない顔をして俯いた。
『...父上は基本的に、部外者は家に受け付けなかったはずだが』
「ふふ、そうね。貴女の父親は厳格で、そういうことにいっそう気を使っていたわ」
『ならば、何故』
「.....簡単よ、そんなこと。
──貴女だけじゃないのよ。
祖国を焼かれて家族を失い、鎖に絡めとられた私を救い出し、必ず迎えに行くと誓ってくれた、最愛の人を亡くしたのは」
目の前で暗がりに沈む烏羽色が、驚愕に染まる。
滑稽なその様子に微笑みかけながら、私は言葉を紡いだ。
「私の本当の名前は、アルプ・クラリトロリス。ω国王位継承権第3位、クラリトロリス家の長女で、この国に政略結婚のために飛ばされた、貴女と同じωの生き残りなのよ」
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(。・ω・。) - 子れは神ですか?神ですね(自己解決)ありがとうごさいますm(_ _)m (2021年12月29日 10時) (レス) @page38 id: 564be5b250 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - うおうおうおうおうおうおう……ッッッ(混乱)なんだこれなんだこれ…!ずっと更新待ち望んで見るぞーって思ったらめっちゃ一気に話出てるし尊いしgr氏の獣みすきだし、夢主おめでとうだし……ッッ!!ここが天国ですね(昇天) (2021年1月4日 1時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
Toki(プロフ) - おぼろどうふさん» ありがとうございますっっ! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 077d8e943d (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - おかえりなさぁぁい!!待ってました! (2020年11月21日 19時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - Tokiさん» 困惑と思惑4、の最後の言葉、すごい鳥肌が立ちました。いい意味です!もう、最高ですか… (2020年9月30日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Toki | 作成日時:2020年7月24日 21時