･ ページ37
gr side
｢...なぁ｣
『ん？』
｢.....たまには、こうして甘えてもいいか｣
今の俺たちの関係に、名前は付けてない。
勿論身体だけの関係でもないし、お互いの気持ちは把握しあっているが、それでも偶に、また何処かへ行ってしまうのではと不安になる。どれだけ引き止めても、あの時のように、俺の知らないAが出てくるのではと思うと。
『...そんなに、不安か』
｢...｣
『もう、私に黒狼の力はない。ヴァンと父上が残してくれた力は、もうないんだぞ』
｢...分かっている。でも、それでもやはり｣
『グルッペン』
｢なんだ、｣
『...ｯ、ぅ』
噛み付くような、咎めるような深い口付け。
唾液が光る唇を薄く引き結び、俺の頬を撫でる手に、自身のそれを重ねれば、幸せそうに微笑むA。
『...私はもう、身も心もお前に捧げた。例えこの先、何があろうとも、ずっと側にいる。絶対に』
｢...｣
『自信を持て、グルッペン･フューラー。お前は私の"恋人"なんだろう？』
悪戯っ子のような、歯を見せた自信ありげな笑み。
昔に忘れた無邪気な子供時代の懐かしさが蘇り、不覚にも胸がときめいてしまった。
｢っ.....、この｣
『む、なんだ。顔が赤いじゃないか』
｢...うるせぇ！お前のせいやぞ！！』
『珍しく真っ赤だな。そんなに私が笑うと嬉しいか』
｢う、｣
面白いものを見つけたと言わんばかりに弄ってくる姿は俺と同じ。変な所で似てしまったな、と不機嫌な顔を作りながら思う。
｢お前さぁ...｣
『オスマンが言っていた。お前は私に弱いからどんどん攻めていけ、とな』
｢あいつ.....くっそ｣
よりによってオスマンかよ。
あの変態外交官、要らぬ知識をAに吹き込んだらしい。
『そんな表情も出来たんだな、お前』
｢あ？｣
『やけに子供らしいじゃないか。昔に戻ったようだぞ』
｢...そういう、お前だって｣
──幼い頃と同じ顔、してるじゃないか。
『...そう、かもな』
──お前の前だと、どうも調子が狂うようだ。
｢...俺の前だけにしといてくれ｣
『それはどうかな。お前次第だろう』
｢ほんと可愛げねぇな｣
『お互い様だ、我が主』
｢総統命令、恋人と呼べ｣
『主は不服か？』
｢当たり前だ｣
──どこまでも面倒くさい奴。
そう言いながら抱き締めてくれる、俺だけの
『──グルッペン、愛してる』
いつも通りの昼下がり。2人しかいない空間で、俺たちは秘密のキスを交わした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 758人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
(｡･ω･｡) - 子れは神ですか？神ですね（自己解決）ありがとうごさいますm(_ _)m (2021年12月29日 10時) (
レス) @page38 id: 564be5b250 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - うおうおうおうおうおうおう……ッッッ(混乱)なんだこれなんだこれ…！ずっと更新待ち望んで見るぞーって思ったらめっちゃ一気に話出てるし尊いしgr氏の獣みすきだし、夢主おめでとうだし……ッッ！！ここが天国ですね(昇天) (2021年1月4日 1時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
Toki(プロフ) - おぼろどうふさん» ありがとうございますっっ！ (2020年11月23日 0時) (レス) id: 077d8e943d (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - おかえりなさぁぁい！！待ってました！ (2020年11月21日 19時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - Tokiさん» 困惑と思惑4、の最後の言葉、すごい鳥肌が立ちました。いい意味です！もう、最高ですか… (2020年9月30日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Toki | 作成日時：2020年7月24日 21時
