悲願叶いて ページ34
gr side
｢...A｣
バルコニーにひっそりと佇む、愛しい俺の想い人。
戦争で負った傷も完治し、いつも通りの煩くて平和な日常が戻ってきた。疎らに伸びた髪を夜風に吹かせ、空よりも暗い烏羽色が俺を捉える。
『涼しいな、グルッペン』
｢ここは風通りがいいからな。...なぁ、A｣
『なんだ』
城の喧騒から、Aを隠すように閉じ込める。大人しく腕の中に収まったAは、少しだけ熱っぽい視線を寄越した。
『...人が通ったらどうする』
｢この時間に出歩く馬鹿はおらん｣
『まぁ、そんな馬鹿は私たちだけだろうな』
｢そうだな｣
躊躇いがちに回された腕。
離さぬようより一層強く抱き締めれば、ふわっと香る爽やかな石鹸の匂い。
｢A｣
『ん？』
｢...好きだ、A。大好きだ｣
甘えたな子供のように言葉をぶつけて、肩口に額を擦り付けながら言葉を紡ぐ。あやす様に頭を撫でられ、それが気に入らなくて顔を上げれば、見たことの無い美しい笑みを湛えたA。
『...あぁ』
｢...っ｣
薄く引き伸ばされた唇が儚くて、噛み付くようにそれを塞ぐ。角度を変えながら何度も何度も合わされた唇は、何物にも変え難い甘美な俺へのご褒美だった。
『ん.....ぅ、』
｢、っは...｣
甘い蜜を溶かしたような中毒性。
熱っぽさが増した烏羽色は、今度は我慢ならないというように俺の唇にそれを重ねる。受け入れるようにやんわり啄めば、ビクッと肩が跳ねる様子が可愛らしい。
｢っ...ん｣
『は、ぁ...ｯ、...』
色っぽい、頭をぶん殴られるような破壊力のある声。
無意識の喘ぎが沁みるように身体を支配して、徐々に集まる醜い熱。分からせるように細い腰へと押し付ければ、普段は見せることの無い表情に口元が歪む。余裕な振りして初心なこいつは、俺の心を擽って離さない。
『っ...盛るな変態』
｢誰のせいだと思っている｣
『............................私、か？』
｢当たり前だろう。でなければこんなにはならんぞ｣
『.....ぅ、.............ぇ、と』
オロオロと目線を彷徨わせる姿が珍しく、飄々とした狼の如き冷たさはない。逃がさないとばかりに抱き締めれば、観念したように俺の腰に腕を回した。
『.........へ、部屋...行く、か...？』
欲に塗れた赤い顔。
手を取って歩く最中、期待するように握り返された小さな手は、酷く熱かった気がする。
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(｡･ω･｡) - 子れは神ですか？神ですね（自己解決）ありがとうごさいますm(_ _)m (2021年12月29日 10時) (
レス) @page38 id: 564be5b250 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - うおうおうおうおうおうおう……ッッッ(混乱)なんだこれなんだこれ…！ずっと更新待ち望んで見るぞーって思ったらめっちゃ一気に話出てるし尊いしgr氏の獣みすきだし、夢主おめでとうだし……ッッ！！ここが天国ですね(昇天) (2021年1月4日 1時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
Toki(プロフ) - おぼろどうふさん» ありがとうございますっっ！ (2020年11月23日 0時) (レス) id: 077d8e943d (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - おかえりなさぁぁい！！待ってました！ (2020年11月21日 19時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - Tokiさん» 困惑と思惑4、の最後の言葉、すごい鳥肌が立ちました。いい意味です！もう、最高ですか… (2020年9月30日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Toki | 作成日時：2020年7月24日 21時
