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me side
gr｢結局ヴァンは、お前に何をしたんだ？｣
帰り道。薄暗い森を抜けながら話しかけられて、そういえばきちんと話していなかったことを思い出す。
『何と言ったら正しいのか...まぁ、端的に言えば、身体を乗っ取られた』
意識を失う前の、体の四肢から力が抜けていく感覚。光の糸の狭間に見えた、自分とは明らかに違うもう1つの意思の糸。
『私の中には、黒狼の血が混じっている。聖獣の長たるヴァンにとって、私の身体は操るに容易い』
gr｢...それで、戦争に便乗して俺たちを襲わせたのか｣
襲わせた、なんて軽いものでは無い。
獣特有の気性の荒らさと知性を兼ね備えたヴァンに、そんな優しさに満ち溢れた答えは無かっただろう。
──きっと、彼は。
『...お前を、お前らを殺したかったんだろうな』
gr｢...｣
『ヴァンは、誰よりもお前たちを憎んでいた。ω国が潰れ、王族近衛兵は残らず消され…聖域に守られるこの森は生き残ったものの、その憤りは凄まじかったのだろう』
gr｢...｣
『私の父──シュトルツとは刎頸の交わりを交わす仲とも言えたほど、特に仲が良かった。...そんな、身体の一部同然の人間が、大人にもなりきれぬ若造たちに殺されたとなれば...な』
聖獣と契る人間は、どれほど高貴な身分の人間だろうと関係ない。誠実で忠義に厚く、心根が純粋な人間だけが契約できる。そうして選ばれたのが、王族に絶対的な忠誠を誓う近衛兵家系の者たちだった。
『私の中で渦巻いていた殺気は、多分、私自身の殺意の中に紛れた、ヴァンのものだったのかもしれない』
なんとも老獪な狼だ。
私ですら最後まで気付けなかった醜い欲望の中に己を隠し、時が来るのをずっと待っていたのだから。
gr｢...今はもう、ないのか｣
『ん？』
gr｢今は、俺たちへの殺意はないのか｣
もう俺たちに、その牙を剥けることはないのか、と。
『グルッペン』
gr｢なんだ｣
『今の私に、お前への殺意があると思うのか？』
森を抜けて見えた月。すっかり暗くなってしまった畦道を馬に揺られながら、風が髪の毛を弄ぶのに任せる。
gr｢...俺には、そうは見えない｣
『そうか。なら、そうなんだろう』
gr｢なんだそれは｣
『いや。私のことを一番よく知っているのは、お前だけだろうから』
蹄鉄の音が夜に木霊する。肩を並べて帰る私たちに、もう、言葉はいらなかった。
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(｡･ω･｡) - 子れは神ですか？神ですね（自己解決）ありがとうごさいますm(_ _)m (2021年12月29日 10時) (
レス) @page38 id: 564be5b250 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - うおうおうおうおうおうおう……ッッッ(混乱)なんだこれなんだこれ…！ずっと更新待ち望んで見るぞーって思ったらめっちゃ一気に話出てるし尊いしgr氏の獣みすきだし、夢主おめでとうだし……ッッ！！ここが天国ですね(昇天) (2021年1月4日 1時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
Toki(プロフ) - おぼろどうふさん» ありがとうございますっっ！ (2020年11月23日 0時) (レス) id: 077d8e943d (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - おかえりなさぁぁい！！待ってました！ (2020年11月21日 19時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - Tokiさん» 困惑と思惑4、の最後の言葉、すごい鳥肌が立ちました。いい意味です！もう、最高ですか… (2020年9月30日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Toki | 作成日時：2020年7月24日 21時
