42話 ページ43
me side
｢『ご馳走様でした』｣
兄妹仲良く手を合わせ、食べ終わった食器類をキッチンに運ぶ。ついでにと買っておいた缶ビールを出してやれば、酒大好きな兄は顔を綻ばせた。
sn｢ありがと。やっぱAのご飯は美味しいなぁ｣
『そいつぁよかった。てかお兄ちゃんと食べとるん？研究室籠るのはしゃーないけど食べなあかんよ』
sn｢大丈夫大丈夫。くられ先生が気を利かせてよくご飯作ってくれるから｣
『あの人自炊できたんか…？』
sn｢それは失礼すぎるw｣
酒が入って機嫌がいいのかけらけらと笑いだし、1人で晩酌をする兄。兄妹よく似たもんで、私もそうだが兄も酒が好きだし普通に強い。暫くはあれで大人しくしているだろうとキッチンに行き、小皿を取り出す。
sn｢あ、おつまみぃ｣
『ここは居酒屋ちゃいますぅ』
sn｢んふふ、そう言いながら作ってくれてるやん！｣
『良く出来た妹に感謝することやな』
sn｢いやほんまに。さすがAやぁ｣
はいどうぞと手早くツマミを出し、ついでにビールも何本か追加で持っていく。既に2本空にした空き缶をベコベコ折っていると、くいっと袖を引かれた。
『っとあぶな……なに』
sn｢んー？｣
『ちょいちょいちょいちょい酒臭い』
sn｢こらこら実の兄を邪魔者扱いすな｣
『酒臭いのが悪いんじゃ！…で、なによ』
ポケーっとしてるトンちゃんをチラッと見てから、全く似ていない薄浅葱の瞳を愉しそうに細めた兄。
sn｢トンちゃん、Aのこと好きやってよ｣
『…へ、何さ急に』
sn｢Aからちゃんと話聞いてあげんとダメだってこと。分かった？｣
全く分からん。
がしかし、何となく兄の言いたいことは伝わった。
『…わぁってるよ、今から話す』
sn｢上手くいくといいね。まぁいかなかったら俺が攫うけどw｣
『呂戌太でも攫っとけ変態』
sn｢軽々と友人を差し出す姿勢好きよほんと｣
『へーへーさいですか』
手を洗って牛乳を沸かす。
会話もなくふつふつと白色が湧き上がってくる様子を眺めるのは、緊張している心を押さえつけるには十分だった。
(…素直にならんとなぁ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2972人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる(プロフ) - は〜ぇ〜〜〜〜？？？章の最後にそれ持って来ますか…はぇ〜……叫んじゃった…ネタバレもせんし検索避けするけど、これから読む人覚悟してほしいレベルで最高作品ですねこれ…続編行ってきます (6月23日 11時) (
レス) @page50 id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
モッチンプリーン - ふぁｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯ、トンちの純粋さ が神ってる……ぐへへ……（変態） (2022年6月27日 0時) (レス) @page28 id: f9adfbd91d (このIDを非表示/違反報告)
天の河 - くああ800票を801票にしてしまったぁ…続編も楽しんできますね！ (2020年12月23日 19時) (レス) id: cb69af0fdb (このIDを非表示/違反報告)
そらばうぉ＠（大体）同い年卍同盟(プロフ) - ななななんと…grさん…！なんか悲しいっ…！？ (2020年10月16日 17時) (レス) id: c189a0280b (このIDを非表示/違反報告)
めろん - トントンさんが可愛すぎる！！あと、ぺ神さんがお兄ちゃんっていうところもめっちゃ好きです！これからも体調に気をつけて、更新頑張って下さい。応援してます！！！ (2020年10月3日 16時) (レス) id: aafa0eac70 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Toki | 作成日時：2020年6月30日 7時
